【私の世界観】「かかあ」と呼んだ入学式後の教室
前回の話。
入学式が終わり、体育館から
渡り廊下を抜けて職員室前へ。
そこから先は、少し薄暗くて
ひんやりした廊下が続いていた。
その廊下を抜けると、
いよいよ1年1組の教室。
黒板には「入学おめでとう!」の文字、
壁には上級生からの飾り付け。
折り紙で作った花や紙テープが
ぎこちなくも温かい雰囲気を
演出していた。
机といすはきっちり整列され、
一つひとつに名前が貼られている。
自分の机を見つけた瞬間、
「これが俺の陣地か!」 と、
謎の武将気分。
自分の席があるというのは、
どこか嬉しい。
座ったら座ったで、
机の中や椅子の裏を見たり、
机の構造を観察。
それに飽きると、今度は
きょろきょろ、そわそわ。
完全に落ち着きゼロの小1が
そこにいた。
先生が前に立ち、
「みんな、入学おめでとう!」 と
挨拶を始める。
その声に過剰反応して、
「はいっ!」と即答。
いや、質問ではない。
周りの子や親がクスクス笑う中、
私のテンションはさらに上がる。
母親に話しかけたくて、
なぜか普段呼ばない呼び方で
「かかあ!」と叫んだ。
母の顔は一瞬で固まった。
なぜそのタイミングで母親を呼んだのか、
「かかあ」はどこから出てきたのか、
今でも謎だが、その場の空気を
一瞬で変えたのは間違いない。
「はいはい、静かにしようね」
入学一発目、指導第一号。
言葉尻は優しかったが、
先生の目は確実にこう言っていた。
「この子、要注意」
完全に目をつけられた瞬間だった。
挨拶が終わり、解散。
友達の親を見つけては、
「○○のお母さん?」と聞き回る。
社交界デビュー気分。
母は後ろで苦笑いしながら、
「頼むから静かにして…」
と目で訴えていた。
帰り道、母から一言。
「あんた、本当にうるさい」
その呆れ顔を見て、
小学校生活の幕開けを
しみじみ感じた。
でも、心の中ではこう思っていた。
「よし、俺の時代が始まる!」
根拠のない自信だけは
誰にも負けなかった。
こうして、
落ち着きゼロの小1が
新しい世界に飛び込んだ。
この先、先生に怒られまくる未来を
まだ知らないまま――。
【私の世界観14】に続く。
