今朝の気付き (エッセイ 16)2016. 12. 7. Wed
鐘の響き、今いずこ
夕刻、何処かのお寺の鐘がゴーンと鳴り響く。 すると、我も負けじと、もう一つのお寺の鐘が、ゴーンと鳴り響く。
次にまた一つ、 人びとはそれらの夕べを知らせるあちらこちらの鐘の音を聞いてどんなにか一日の日暮れの安らぎを意識できたことか。
人々のなかにも、このお寺の鐘の音に似た、一声(ひとこえ)響きのある声で辺りに何かを意識させる話をする人が昔はあちらこちらに存在した。
それらの一人が何か喋ると、負けずにもう一人が似たような、或いは全然別のトーンで、音を響かせたものだ。 それらの響きを人々は聞いて感心したり、面白がったり、励まされたり、ほっとしたり、反省したり、 悔しがったり、いろいろとしたものだ。
鐘の音も響かない、 人の張り上げる声も聞こえない、そして今、人は云う、「お静かで結構ですね」と。 お静か、どころか騒がしいクラクションを鳴り響かせて、変な丁髷姿の若者たちが走り回る。
これも一つの時代なのだなぁ。