ここ数年沢山の映画を見るようになっているのだが、

自分の好みが明確になりつつあるのである。

にもかかわらず、その自分の趣味とは正反対のハリウッド映画を、

三本も立て続けに観た週末だった。

「アベンジャーズ」

「アイアンマン」「ハルク」「キャプテン・アメリカ」

ぞれぞれを単独で観ていたわけだが、

コミック・ヒーロー物として、十分楽しめた作品だった。

エンディングあたりで登場する、他作品につながる伏線もワクワクさせられていた。

ところが「マイティー・ソー」である。

こちらのヒーローの難点は、神話の世界に飛んでしまったところである。

すべてフィクションではあるのだが、どうも「神」が登場してきたところで、

これまでのヒーローとは、一線を画してしまうのである。

同じ荒唐無稽でも、まったくの種類の違うフィクションなのである。

ほんの些細な小道具でさえリアリティを無くしてしまうほどのファンタジーである。

そして「アベンジャー」はこの「ソー」に引きずられ、元も子もなくなる感じ。

お金が掛かっている事は、その並べた役者とＣＧでまざまざと見せつけられるのだが、

異分子の混ざったヒーロー達が力を合わせれば合わせるほど、変な感じになってしまう。

ファンタジーになるの？ＳＦになるの？

でも、これがハリウッドの一つの象徴なんですよね。

「ヒューゴ」

こちらは劇場での第2ラウンド。

二度目というのが、どう影響しているのかわからないが、

とにかく「あっさり」と、流してしまった。

構図や画面の独特の雰囲気は、大いにその世界観を楽しめるのだが、

物語としては、心の中に飛び込んでくる３Ｄ作品ではないように思えた。

今回は２Ｄで観たのだが、どうも中途半端なヒューマニズムが散りばめられた、

とらえどころのない作品に見えてしまったのである。

機械人形でさえ、何の意味があったのか疑問に思えてきてしまった。

駅の壁の中に住むヒューゴの孤独な生活。

パパ・ジョルジュの成功と挫折の半生。

頭の弱い交通公安官と美しい花売り娘のほのかな恋。

老婦人と老紳士のほんわかとした交流。

どうも映像ほど突き抜けた物語が、ココロに突き刺さらなかった。

そして「アーティスト」

コマーシャルの悪影響で、始終「ホットペッパー」風にアフレコが頭の中に・・・。

しかしながら、ガン見していたのはそれが理由だけではないと思う。

サイレント映画故の大袈裟な演技も、

スターがスターとして振る舞う様子も、

トーキーへの反発とその凋落振りも、

すべてのシーンに、「力」と「品」が備わっているように思えた。

もちろん昨今のＣＧ全盛の時代に、この手法は目立つのは当たり前だが、

単に奇をてらっただけではない、映画に対する想いが込められているように見えた。

アカデミー委員会も捨てたモノではないことを確認できる作品である。

週末３本