「#共通テスト痴漢撲滅運動」騒動に見られる、「女性の安全と権利」について Q子

 

 

 

 

フェミニズムの歴史 

 

 

男女ともに労働に従事していた中世から産業革命を契機に移行する中で進んだ女性の専業主婦化と、それに伴い男性性に包摂されていった女性性の不自由さを打開しようとする運動。個人としての活動は中世から存在。


【思想体系社会運動としてのフェミニズムの沿革】

18世紀 欧州において封建的・絶対主義的国家体制の解体と近代社会の実現を目指す市民革命の一環として起こった

第一波 19-20C前半

中産階級の女性の精神的自立と経済的自立、教育・職業の機会均等、女性参政権運動を中心とする法的男女平等を求める

 

・第一次世界大戦の間に、多くの国で女性参政権が認められる
・1893年 ニュージーランドで 世界最初の女性参政権
 (参考)
 1920年 アメリカ
 1945年 日本


第二波 1960年代~

「文化・社会に深く根を張る意識や習慣による性差別と闘い、主に性別役割分業の廃絶、性と生殖における自己決定権など」を主張した運動が展開

 

1970年 欧米
妻は就業に夫の許可が必要。離婚法、中絶の合法化など、社会習慣・意識に根ざす性差別との闘いを中心とする。ジェンダーの概念の批判、再解釈、再構築が試みられる。

①リベラル・フェミニズム(自由主義フェミニズム) 最長歴史かつ「フェミニズム」の原型

②マルクス主義フェミニズム ❶の批判的立場に立ち女性差別の原因を資本主義社会だとする(社会主義フェミニズム、ソーシャル・フェミニズム)

③ラディカル・フェミニズム ❶❷の前提である資本主義や諸制度と無関係。身体性差で男性自体が抑圧者と批判



ソ連崩壊・冷戦終結以降

冷戦終結により、資本主義の批判的位置づけにあったマルクス主義フェミニズム衰退。ラディカルフェミニストとリベラル・フェミニストが主流になる。




(第一波)

18世紀末 フランスから、イギリスをはじめ欧州へ

1789年 フランス革命により「人間と市民の権利の宣言」(フランス人権宣言)が採決

この「人間」とは「男性」のことであり、男性にのみ権利を与えることに対して女性が抗議し、女性の権利を求める運動が欧州各地に広がった。これがフェミニズムの誕生とされる。(フランス国内で起きた事象の順位において、異説あり)

1791年 憲法で女性の権利が無視されたことに対して、同年、『女性および女性市民の権利宣言』を発表。(女性作家オランプ・ド・グージュ 仏)

1792年 『女性の権利の擁護』 (メアリ・ウルストンクラフト 英)

19C 欧州とアメリカ合衆国 女性参政権を求める運動

1848年 女性参政権を要求する「セネカフォールズ会議」が開催される(米)
    「1848年の女性たち」の運動が起こる(仏)


(第二波)

1949年 『第二の性』(シモーヌ・ド・ボーヴォワール 仏)
    50~60年代に中産階級の若い女性に影響を及ぼし自立を促す

1963年 『新しい女性の創造』(ベティ・フリーダン 米)
    60年代後半~70年代前半 女性解放運動が世界中に広まる
     
1972年 第27回国連総会で1975年を国際婦人年と決議
1975年 メキシコで世界女性会議を開催して「世界行動計画」を発表

70年代 ピル解禁要求(日)
    LWLW(ロンドン・ウィメンズ・リベレーション・ワークショップ)を結成(英)



以上は、Wikipediaを大雑把にまとめたもの。

 

 

 


韓国のフェミニズム 

 


韓国のフェミニズムは2016年5月に起きたソウル・江南駅付近で起きた女性殺人事件が契機とされている。
それまで韓国の女性たちにとってフェミニズムは"一般的"なものではなかったが、この事件をきっかけに次々と声を上げ始め、大きな社会運動となった。



2012年 9月  中東呼吸器症候群(MERS)が流行する。 
      
2015年 8月  オンラインコミュニティー「メガリア」設立。MERSに絡み女性を卑下する男性の議論に批判的運動が起きる。
       「MERS」を韓国に持ち込んだのは香港旅行から帰国した20代の女性ふたりというフェイクニュースが拡散。実際は60代の中東帰りの男性が第一感染者
        「メガリア」はノルウェーの女性主義小説『イガリアの娘たち』から命名
2015年11月 「メガリア」にて、男性同性愛者とトランス女性中傷表現は削除する方針を示す
2016年 1月 「メガリア」の方針に反発したユーザーが「WOMAD」開設
          10~20歳代の若い男性に「フェミニズム=男性嫌悪」という認識を与え、「男性の権利を求める若い男性による運動が韓国社会に現れ始める。 
2016年 5月   「江南駅殺人事件」が起きる
2017年   「メガリア」閉鎖
       『82年生まれ、キム・ジヨン』(130万部 韓 30万部 日本)
2018年    2018年には韓国版「#MeToo」運動が始まる。
        このころから「脱コルセット運動」が始まる
        「短髪=フェミニスト」のイメージができる
2018年 3月  キム・ジウンが秘書をしていた韓国中部・忠清南道の知事だった安熙正知事(当時)から8カ月にわたり性的暴行とセクハラを受けてきたと放送局で暴露(現在服役中)
      

韓国はOECD(経済協力開発機構)の加盟国の中、男女の賃金格差がもっと大きい国であり、女性国会議員の比率は20%に満たない。上場企業の女性役員は5.2%に過ぎないのが現状である。女性が置かれている社会・経済的環境は依然厳しい。

 





20代男性の79%が「男性は深刻な差別を受けている」(2021年 韓国日報社)
「差別を受けているのは女性ではなく男性である」

フェミニズムに否定的な20代男性を「イデナム」という。
徴兵制により、男性は最長21か月間。月給5万円で社会と隔離される。これが加味されないことが差別ととらえられている。





1871年、岩倉使節団でアメリカへ留学した津田梅子ら5人の少女がおり、戦前既に女性の社会活動やフェミニズム運動が確認される日本が韓国フェミニズムの影響下にあるなどと、なぜ思い込めるのか疑問である。




【資料】