1900年前半のアメリカ南東部アパラチア地方の日常風景が描かれているプリス・バトラーの絵

 

 アウトサイダーアート、フォークアートのアーティストとしての定義はまず、アカデミックな美術教育は受けていないこと、バックグラウンドが貧困であったり不遇の生活を送っていたといったこと、創作始めは商業としての作品を作っていないなどといったことが当てはまるのだが、プリス・バトラーはこれらには当てはまっていません。

 

1993年ネバダ州コロラドの地元誌の表紙を制作が創作のスタートとなった

 

 プリス・バトラーは子供の頃から海外で生活をはじめ、米国でもいろいろな場所に住んでいます。創作のきっかけとなったのは地元の観光パンフレットの表紙がスタートとなっています。彼女はしっかり美術教育を受けたミドルクラスの白人なのです。

 プリス・バトラーはグランマ・モーゼス、マーティー・ルー・オケイリーといった作家の日常を捉えたメモリーペイント(思い出の風景)の系譜を引き継ぎ、叔母から聞いた1900年前半のアパラチア地方の庶民の生活の風景を描いています。

 

      1996年安西水丸氏はフォークアーチスト取材の旅でブリス・バトラー宅を訪問

 

 安西水丸氏著「アトランタの案山子、アラバマのワニ」の中ではバトラーの絵が地元の図書館にあるということで、見に行っているのですが、その作品は本の中には掲載されていません。その絵は下の写真です。⏤壁に掛かった彼女の絵はなかなかの力作で、それは今僕たちのいるラビットタウンの昔の風景だった。⏤安西水丸氏著「アトランタの案山子、アラバマのワニ」より

 

ラビットタウンという可愛らしい街の図書館の壁に掲げられているプリス・バトラーの絵

 

 自分の住む街のこんなカラフルな風景画が図書館にあったら見に行ってしまいそうです。

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