ジョニー阿部…世界を買った男

ジョニー阿部…世界を買った男

ジョニー阿部と出会い俺の人生は変わった…

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さらばジョニー阿部…エーデルピルスとブルゴーニュ

 

あのジョニー阿部とのセミナーでの大騒ぎから1ヶ月…

 

相変わらず俺はフリーターのままだ。

 

エリカさんから、「ジュンペイが興味あるならウチの会社で働かない?」

 

「ジョニー阿部も同意しているんだけど…」と誘われたのだが…

 

正直、飛びつきたかったけれど…断ってしまった(苦笑)

 

そして今夜もバイトに来ている。

 

11時過ぎ…ドアが開くと…

 

「こんばんわ︎」

 

エリカさんだ︎

 

あのセミナーの後ちょくちょく来て飲んでいってくれる。

 

会社の仲間やら、友人やらの飲み会の締めに一人で立ち寄ってくれるのだった。

 

「エーデルピルスをちょうだい︎」

 

彼女もジョニー阿部の影響なのかエーデルピルスが好きで…

 

「ジュンペイの入れてくれるエーデルピルスはホント美味しいんだよね︎」

 

「ありがとうございます」

 

「…先生、いやジョニー阿部さんは元気ですか?」

 

「一昨日久しぶりに日本に帰って来たんだけど、忙しそうで私も会えていないんだよね…」

 

「なんか、ロンドンの会社を通じて上海の凄い高層ビルを買い取るとか言っていたわ…」

 

「なんだか私なんかが手の届かない所へ行ってしまった感じで(苦笑)」

 

エリカさんは少しだけ寂しそうだ。

 

俺は少しだけ悔しくなっている自分に気づく。

 

エリカさんはジョニー阿部が好きなんですか?…とイケテナイ質問をしてしまいそうだった瞬間…

 

ドアが開く…

 

「よう︎」

 

ジョニー阿部が立っていた。

 

「元気そうだね(笑)」

 

元気ではないけれど、

 

「元気ですよ」…と答えた。

 

「エーデルピルスを…」と、オーダーされる前に注ぐ俺…

 

「分かってるね(笑)」

 

エリカさんも笑顔だ。

 

俺がエリカさんの誘いを断った話になるとジョニー阿部は

 

「ウチの会社を袖にするなんて良い度胸しているよな…ジュンペイはさ︎」…

 

「フリーターのくせに︎(爆笑)」……一言多いんだよ(苦笑)

 

「ジョニー阿部さん、エリカさん…俺、やりたいことが見つかりつつあるんですよ…」

 

「まだ…言えないけど(苦笑)」

 

「教えなさいよ︎意気地なし︎」

 

「根性なし︎」

 

二人から好き放題に言われている俺…すると、ジョニー阿部が…

 

「じゃぁ…ジュンペイ…いや田川純平の門出を祝って乾杯だな…」

 

「オススメの…ブルゴーニュは?」

 

俺は「ヴォーヌ・ロマネ レ・シャランタンが入ってますよ」と答えた。

 

「淡い色合いでピュアで繊細な果実味が口の中に優しく広がるワイン…だよな」

 

「それにしますか?」

 

「それにするよ」

 

生ハムとチーズを簡単に盛り合わせて一緒に出す。

 

「君も飲むかい?」

 

「いただきます」

 

乾杯︎

 

その高級ワインの味わいは1ヶ月前とは全く違っていることに気づいたのだった。

 

終わり

 

 

 

 

 

 

 

これがジョニー阿部…世界を買った男だ #3

 

アルコールも入っていないのにジョニー阿部との大騒ぎのランチタイムが終了…

 

居酒屋から地上に戻ると道路の向かい側にエリカさん&北海道の歯科衛生士二人組が歩いていた。

 

中小企業会館の入り口で合流…

 

「3人で歩いていると某アイドルグループみたいでしたよ…エリカさんセンターで(笑)」

 

「おばさんをからかわないで︎(怒)」…怒られたが、まんざらでもない感じが可愛い…(笑)

 

会議室に戻り、セミナー午後の部スタート︎

 

例の歯ブラシのマーケティングの発表会だ。

 

大企業の若手エリート社員も、青森の中小企業の社員(その後彼は起業している)も、東京のフリーター(俺)も(笑)

 

年齢も性別も出身地も…年収も(苦笑)関係なく

 

自分の意見をぶつけ合っている。

 

これがジョニー阿部の世界なのだろう。

 

このマーケティングに関しては個々の意見優先ではなく総意で良いものを作り上げることを目的としているらしく…真剣勝負の様相を呈している…

 

ただ、ここでも彼らは「ネガ語」を一切使わない。

 

相手を言葉でねじ伏せるのではなく、自分の考えを如何に周りに上手く伝えるのか?に重点を置いている。

 

俺も考えた…が…なかなか輪に入れない…負い目?引け目?を感じているんだな。

 

ふと気がつくとエリカさんが横にいる…

 

「ジュンペイ…ここまで来たら参加しなくちゃ男の子じゃないなぁ…行って来なさい︎」

 

「はい︎」…思わず返事していた…エリカさん初めて呼び捨てで呼んでくれたし(笑)

 

俺は前に出て自分の意見を大声で皆に話していた。

 

昔から発表したりするのが大の苦手な俺が、

 

大企業の若手エリート社員や、青森の中小企業の社員(その後彼は起業している)そして、ジョニー阿部の前でプレゼンしている。

 

その後、どうなったのかよく覚えていない…

 

声が枯れているほどなので、相当喋っていたんだろうなぁ俺…

 

終了後、ジョニー阿部は出張でロンドンに行くとかでタクシーで羽田空港へ向かっていった。

 

打ち上げがあるとの事だったのだが、俺、疲れてしまって…帰宅…

 

エリカさんに「ジュンペイやるじゃん︎(笑)」って言われて…

 

凄く嬉しかったなぁ(笑)

 

 

 

 

 

これがジョニー阿部…世界を買った男だ #2

 

生徒全員&スタッフ一同で外に出る。

 

すると、エリカさんが北海道から来た歯科衛生士二人組を連れてジョニー阿部の所に行く。

 

「先生、この子たち折角銀座に来れたので、東京らしいオシャレな店でランチしたいらしいんです…」

 

「だから、私連れて行ってあげても良いですか?」

 

「そういえば、そうだよね︎」とジョニー阿部…

 

「じゃぁ片平よろしくね︎」

 

エリカさんの細やかな気遣いに俺は感心する…惚れてまうやろ~~~(笑)

 

居酒屋は歩いて数十歩のところにあった。

 

細い階段を地下に向かって降りる…

 

デカい水槽が目印の至って普通の居酒屋だ。

 

ドアを開けると元気よく「いらっしゃいませ~~」

 

「あぁ先生、お待ちしてました。奥の個室へどうぞ」

 

皆でゾロゾロ歩いて行く…

 

個室は畳敷きの大きめの部屋で人数分の箸とおしぼりが用意されていた。

 

「ここはメチャクチャ美味いものも無い代わりに、ハズレも無いから安心してオーダーして大丈夫だよ(笑)」

 

「先生、そりゃぁないですよ~~~(笑)」 と店主…

 

「冗談だよ、冗談(笑)」

 

いるだけでその場が何か明るくなる…

 

それがジョニー阿部の本質だと言うことに俺は気づき始めていた。

 

ジョニー阿部を囲むように皆で座る。

 

俺は岡山から来たと言う同い年の女の子と青森から来た40歳くらいの男性に挟まれて座った。

 

フロム青森の男性に話しかけられる。

 

「僕は個人で参加しているんです。」

 

「今回10回目の応募でようやく当たりまして…やっと来れたんですよ︎」

 

「あなたは先生の会社の方なんですか?」

 

「まぁ…そんな感じです…」…今日だけだけど(笑)

 

「羨ましいなぁ…個人でこのセミナーに参加できるのって凄いラッキーじゃぁないですか?」

 

「そうなんですか?」と俺…何も分かっていないのは数時間前と変わらない(笑)

 

「35人の枠の中の半分は先生と懇意の大企業に取られてしまうんで…」

 

確かに俺と同年代と思しき男女は非常に良いスーツを着ている…そうかあいつらエリートか(苦笑)

 

ただ、共通しているのは連中も鼻にかけていないところだ。

 

お茶が出てくると率先して回してくれたり汲んでくれたり…

 

そして何より声が大きくて笑顔なんだよね…

 

これもジョニー阿部の魔術なんだろうな…

 

これがジョニー阿部…世界を買った男だ #1

 

ジョニー阿部のセミナー…

 

とにかく元気が良い…声が大きんだよね︎

 

これは生徒も同じで、大声で質問し、質問に答えている。

 

スピード感も凄い…

 

そして、兎に角ポジティヴだ。

 

そうネガティヴな言葉を一切使えわないんだよね︎

 

それを彼らは「ポジ語」と「ネガ語」と呼んでいた。

 

俺なんて「ネガ語」しか使っていなかった時期があったなぁとか思い出してしまった(苦笑)

 

そして…「私の夢5カ年計画」だ…

 

皆、それぞれの思いを順番に発表していく。

 

「嫁さんを連れて海外旅行へ…」とか、「イケメンと結婚する︎」とか…

 

皆、様々な夢を語っていく。

 

それを拍手と歓声で盛り上げていくジョニー阿部…

 

盛り上がりっぷりを俺が呆然と観ていると、エリカさんが耳元で

 

「これは、まだまだ午前の部…午後の部は更に盛り上がるのよ︎」

 

などと意味深なことを言うので更に楽しみになってしまうじゃないですか︎

 

 

すると今度はマーケティングの講座。

 

最前列に座っていた女子二人組がホワイトボードの前に呼ばれて立つ…

 

ジョニー阿部が二人を紹介する。

 

「彼女たちは北海道から来てくれた歯科衛生士さん二人組です。院長先生が私と旧知の仲なんですね…」

 

「それで…その歯科医院で販売している歯ブラシを上手に売り込む方法を考えてください。」

 

「POPでも良いし、患者さん一人一人への売り込み方でも良いし…」

 

「彼女たちがこの歯ブラシのアドバンテージを発表するので、それを参考にしてね︎」

 

なるほど…そう来ましたか…

 

二人の可愛い歯科衛生士さんは緊張を隠せないものの頑張って商品の概要を説明し始めた。

 

一通りの説明が終わると質問タイムに入る。

 

様々な質問に自分よりも年下の女の子が二人で必死になって答えている姿を俺は尊敬と羨ましさの混ざり合った眼差しで見ていた。

 

説明が終了したところで前半戦終了。

 

ランチタイムとなる。

 

ジョニー阿部が大声で、「私とランチしたい人いますか?」と聞く…

 

全員が「行きたいです~~~」と大騒ぎ…

 

「近所の居酒屋で良い人たちは一緒に行こう︎」

 

「片平、電話しといて」

 

 

ようこそジョニー阿部の世界へ #3

 

ジョニー阿部とエリカさんは会場の会議室の隣にある控え室がわりの小会議室に入って行った。

 

「生徒さんが入ります︎準備してください︎」

 

事前の打ち合わせ通りの配置に就いた。

 

俺の仕事は会議室の入り口で何枚かのテキストを渡す事だった。

 

エレベーターの扉が開いて生徒さんが入ってくる…

 

一人一人にテキストを手渡す。

 

面白いのは生徒さんの幅の広さだ。

 

上は60代?から下は高校生くらいの子もいる…

 

男女比も半々くらい…日本中から来ているのか…言葉もなんか違う。

 

共通しているのは、なんだか凄く活気があるってことかな?

 

人数は35人…競争率はなんと10倍以上だとのことで…

 

ジョニー阿部って凄いんだよなぁと感心してしまった。

 

俺ってラッキーだったなぁなんて思ってしまう(笑)

 

全員着席したので少し手が空き、テキストを眺めてみる…

 

自分の「プライベートの夢」と「仕事の夢」を5年間分1年ごとに書くようになっている。

 

皆、書き始めているので最後列の受付用の机に上で俺も書く…

 

1年後…来年か…う~ん…意外と難しい…5年後なんて全く想像すら出来ない(苦笑)

 

ジョニー阿部ならなんて書くんだろう?

 

もうすぐ10時…スタートの時間だ。

 

ふと気がつくと隣にエリカさんが立っている。

 

俺のテキストを覗き込むので慌てて隠す…

 

「ケチ︎」…なんか恥ずかしいじゃぁないですか︎

 

そして…10時…

 

「ガチャリ」

 

ドアが開くと…

 

生徒全員自然に起立し大拍手&大歓声が巻き起こる…

 

ジョニー阿部の入場だ…

 

まるでロックスターの登場かと思うような入場シーンで、さらに何だか分からなくなってくる(笑)

 

ホワイトボードの前に着くなり第一声は…

 

「皆さん、元気ですか?」と、まるで何処かのプロレスラーのような挨拶からスタートする。

 

一歩間違えると豪快に外してしまいそうな光景なのであるが

 

それでも会場中で受けてしまうのがジョニー阿部たる所以か?

 

そして、ここから「ジョニー阿部の世界」がスタートするのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ようこそジョニー阿部の世界へ #2

 

エリカさんと二人、エレベーター前の自動販売機コーナーへ歩く。

 

古びたベンチに座り、ペットボトルのお茶を飲む…

 

「ジュンペイ君は学生さんなの?」

 

「いや…俺、もう26になります…俗に言うフリーターって奴ですね(苦笑)」

 

俺は本当に苦笑しながら答えた。

 

「就職したいの?」

 

エリカさんは直球勝負でくる…

 

「それが…よくわかんないんですよね…自分でも…俺、何がしたいんだろうって…」

 

俺は、やっぱり煮え切らない…(苦笑)

 

「この間、先生…ジョニー阿部が言っていたのよ、面白そうな子を見つけたって。」

 

「俺のことですか?面白そうな子って…」

 

「そう。なんか、こう…燻っているって…昔の自分を見たんじゃないかなぁ?」

 

「え︎…ジョニー阿部、いや、先生も同じって???」

 

「そうだ、先生の事どのくらい知っているの?」

 

そう言えば、俺、ジョニー阿部…先生の事、全っ然知らないんだよなぁ…

 

「なんか本業が自己啓発のセミナー講師で、副業が零細商社の経営者って…聞きました」

 

「ワッハッハ︎(爆笑)」   「零細商社?????(大爆笑)」

 

え、なんか俺、変な事言ったのかなぁ???

 

戸惑っていると、エリカさんは真顔になり…

 

「ジュンペイ君…ジャスダック上場の片平トレーディングって知ってる?」

 

知っているも何も、倒産寸前だった中小商社だったのが突然業績UPしてジャスダックに上場したって当時大騒ぎになり新聞やらニュースやらで取り上げられていたっけ…

 

そしてちなみに…俺は新卒で試験を受けて物の見事に撃沈されている(苦笑)

 

「片平トレーディングって…片平?…」

 

「そう、初代社長は私の祖父…3代目の社長であり、上場させた張本人は阿部正弘…今は相談役」

 

「まさか…その阿部正弘さんって…」

 

「ジョニー阿部の本名よ(笑)」

 

その時だった、エレベーターの扉が開くと一人の男が降りてきた。

 

「先生、おはよう御座います」

 

エリカさんが真顔で挨拶する…

 

俺も慌ててお辞儀する…

 

目の前には仕立ての良いグレーのスーツに千鳥格子の赤いネクタイを合わせた男…

 

ジョニー阿部が立っていた。

 

「さぁ、今日も始めようか(笑)」

 

 

 

ジョニー阿部の世界にようこそ #1

 

土曜日の朝8時半…銀座2丁目の中小企業会館…

 

先週、出会った謎の男…ジョニー阿部にもらった名刺の裏に書いてもらったセミナー会場。

 

都営浅草線の銀座東2丁目駅で降り、地上に上がって建物を探す…

 

コンビニのはす向かいに、その古びたビルはあった。

 

「スタッフが一人足りないんで手伝いで来てよ。」

 

そう、ジョニー阿部に俺は誘ってもらったのだ…あくまでスタッフ手伝いとしてね。

 

ビルに入り、エレベーターで5階まで…

 

ドアが開くと、若い女性2人と男性1人が長テーブルと椅子を会議場と思しき部屋に運び込んでいる…

 

女性の1人が俺に気づき

 

「もしかしてジュンペイさんですか?」

 

「はい…田川純平です」

 

「この椅子運んでもらえますか?」…

 

慌てて搬入に参加することになる俺…

 

その後30分くらい搬入やら、テキストの準備やら受付のセットやら…お手伝いをする…

 

ふと気がつくと、スーツ姿の女性が現れて男性スタッフと話し込んでいた。

 

40歳くらいか?ジョニー阿部と同じくらいの年齢だと思しき女性は最近人気の石田ゆり子似の美人(笑)

 

身長は165cmくらいかなぁ…年相応の体つきは、大人な感じで…何かドキドキする…

 

手の空いた俺がボーッと見ていると近づいて来て一言…

 

「あなたがジュンペイくん?」

 

「そうです…初めまして田川純平です…」

 

「先生から聞いています。私はこのイベントの主催者で、先生…ジョニー阿部のマネージャーをやらせていただいている片平エリカです。よろしくね︎」

 

とてもハキハキした、何かこう…仕事が出来そうな、ちょっと怖そうな…お姉さん…おばさんではないな(笑)

 

「今日は手伝ってくれてありがとう。ちゃんとギャラも払うからね︎」

 

「お気遣いありがとうございます…でも、ギャラじゃぁなくて、ジョニーさん、あ、いや、先生のセミナーを受けさせて頂けませんか?…」

 

「そう︎じゃぁ、今日のギャラは先生のセミナーの受講料にさせて頂こうかしらね︎」

 

そう言うと彼女…エリカさんは他のスタッフに向かって大声で…

 

「皆んな~~~15分後に会場オープンだから…10分休憩よ~~~」

 

そして俺に向かって、

 

「そこで休憩しましょうか?」

 

と、エレベーター前にある自動販売機コーナーを指差したのであった。

 

 

 

 

 

ジョニー阿部 エーデルピルスとブルゴーニュ #3

 

ジョニー阿部は続ける…

 

「実は去年からさぁ…講師をしているんだよね。友人に頼まれてさ…専門学校みたいな所でさ。」

 

マスターが驚いて聞き返す。

 

「何の講師をしているんですか?…まさか…ナンパとかじゃぁないですよね?(笑)」

 

マスターがニヤニヤしながら質問する…そんな専門学校あるわけねーだろうと思うが突っ込めない俺…

 

「違うよマスター(笑)」

 

「なんかさぁ…自己啓発っていうの?最近流行りのやつ…ポジティヴ・シンキングって言うのかな?」

 

「どんな事を教えているんですか?」…と俺…

 

ジョニー阿部は続ける。

 

「ネガティブな事を排除するって言うのかな?あ、マスターも一杯どう?」

 

と、ワインボトルを傾ける。

 

「遠慮せずに頂きます。」とマスター…「いや~美味いっすね~~~(笑)」

 

「例えば…何か生徒にプレゼンさせるとするだろ?終わった後にオーディエンス役の生徒に質問させると…」

 

「その時にネガティヴな質問は最初から排除してしまうとかね…簡単に一言で言うと…まぁ良い所を見つけて褒めまくるって感じかなぁ」

 

思いがけず良いワインを飲んでご機嫌なマスターが聞き返す。

 

「そんなのが意味あるんですか?僕は叩かれたほうが強くなるように思いますけれどね~」

 

ジョニー阿部が答える…

 

「それはマスターや俺たちの年代の人たちの考え方なんだよね…最近の若い連中は褒めなきゃダメなのよ(笑)」

 

「なぁ…ジュンペイ?」

 

と、俺に話を振るジョニー阿部…

 

「そう言えば、確かにジュンペイもそうだよな~」

 

と、速攻に同意するマスター…

 

すいませんね︎俺、褒められて伸びるタイプなんですよ︎

 

「どんな生徒が集まっているんですか?」

 

「就職先探してる奴とか、就職してても会社の中で上手くいかなくて苦労している奴とか…」

 

「俺、覗きに行っても良いですかねぇ…」…あ、言っちゃった…

 

「あぁ、ジュンペイ来なよ︎俺のスタッフって事で入れてやるからさ」

 

「マジッすか???絶対行きます︎」…

 

ひょんな出会いから俺の人生の歯車の回転スピードが速く、そして強くなって行くのであった…

 

 

 

 

 

ジョニー阿部 エーデルピルスとブルゴーニュ #2

 

「買ったものを売るんですか?」…俺は思わず聞き返してしまった。

 

なぜって、当たり前のことだからさ。

 

彼、ジョニー阿部はこう答えた…

 

「買ったものを売る…当たり前のことだよな(笑)ただね、その当たり前の事が実は非常に難しんだよ。」

 

「例えば…このワイングラス…」

 

そういって彼は手に持ったワイングラスを人差し指で軽く弾いた。

 

キ~~~~ン…

 

透き通った音が店内に響き渡る。何とも言えない美しい音色…

 

ジョニー阿部は口を開いた…

 

「このグラス…ヴィノムのブルゴーニュ・グラスだよね?1個1万円くらいかなぁマスター?」

 

 

12時を回り、常連客が帰りカウンターを片付けていたマスターに話しかける。

 

「流石、ジョニー阿部さん…正解です(笑)良いワインを美味しく楽しむ…当然のことですよ」

 

「君の名前は?」と俺に向かって聞いてきたので、「田川純平、ジュンペイで良いです」と答える俺。

 

「いいかいジュンペイ…」

 

「このヴィノムのワイングラス…1万円が、もし3千円で売れるとして…その辺の居酒屋、いつも五百円くらいのグラスを使っている店に売り込みに行って売れると思う?70%オフですよ︎ってさ」

 

「3千円︎…僕なら箱買いしますよ(笑)」マスターが横槍を入れる…

 

「売れませんよね…」俺が答える。

 

「その通り…逆に…五百円のグラスが百円になるとして…マスター買いますか?」

 

今度はマスターに尋ねる…

 

「買いませんよ。もしタダでと言われてもウチでは使えませんので要りませんよ︎」

 

「そう、そう言うことなんだよね。」

 

「ただ単に、ものを仕入れて安くして闇雲に売ろうとしても売れないんだよ。」

 

彼はグラスの高級ブルゴーニュ・ワインを口に含み続ける。

 

「ピンポイント・マーケティングって呼んでいるんだけれど、そのお客様個々にあったモノを仕入れて適正な価格で売り込む…と…」

 

「僕の副業は小さな小さな零細商社なんだよ(笑)」

 

「あれ???商社は副業なんでしたっけ???」

 

マスターが驚いたように聞き返す…

 

ジョニー阿部は…

 

「マスター…今は商社は副業なんだよ…本業はさぁ…」

 

続く

ジョニー阿部…エーデルピルスとブルゴーニュ

 

俺の名前は田川純平(26)。

それなりの大学を卒業し、それなりの会社に就職したのだが1年で退職…その後就職先が決まらず…(苦笑)

大学時代からのバイトを続けながら(中目黒のとあるBar…)一応正社員を目指して就職活動もしている。

 

まぁ、彼女もいるし、日々それなりに楽しいのではあるが何かこう…充実はしていない…

一言で言うと俺はこれでいいのかな?って考えてしまうんだよね。

だけど、ズルズル過ごしてしまい…自己嫌悪しつつ、自分じゃぁ何にもしていないって言うさ。

 

そう、ジョニー阿部…彼に出会うあの夜まではね…

 

その日もいつも通りバイトに行くと、23時ごろだったか?…初めてのお客さん…40代くらいかな?

 

ちょっと肌寒い夜だったのだが、黒いシャツ一枚にジーンズ…ラフなのだけれど明らかに高価なブランド…ヘタに高そうなスーツとか着てるより、カジュアルな方が金持ちっぽさが伝わるから不思議だ。

 

マスターが常連客の相手をしていたので、俺の前に座った彼はメニューに目を通し、エーデルピルスをオーダーした。

 

この高級生ビールを彼は実に美味そうに一気に飲み干すと、「ブルゴーニュのお勧めは?」と聞いてきた。

 

俺は「ヴォーヌ・ロマネ レ・シャランタンが入ってますよ」と答えた。「淡い色合いでピュアで繊細な果実味が口の中に優しく広がるワインですよ」とマスターからの受け売りの文句をそのまま披露すると彼は「それにするよ」と言いボトルでオーダー…生ハムとチーズを簡単に盛り合わせて一緒に出す。

 

「君も飲むかい?」…勧めていただきありがたく頂く俺…こんな高級ワイン初めて飲んだよ(笑)

 

「ご馳走様です。良いお酒をお飲みになるんですね」…

 

「俺の名前はジョニー阿部。別にハーフとかじゃぁないんだけれど、学生時代からのニックネームなんだよね」…

 

「ジョニー阿部さん、あ、ジョニーさんはどんなお仕事をなさっているんですか?」…

 

「俺の仕事?そうだなぁ…まぁ買ったものを売る…そんな感じかな?」

 

ジョニー阿部…彼との最初の会話だった…