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それは、シャーロックと訪れた銀行から始まった。その銀行で働くシャーロックの昔の友人は、みるからに銀行員といった風貌であった。彼の話によると、何者かがオフィスに侵入し、壁の絵にスプレーで落書きをしていった。これだけ聞くとたいした事件には思えないが、オフィスのセキュリティは完璧だったにも関わらず、防犯カメラの映像には侵入者の姿はなく、犯人に繋がる手掛かりといったものが残されていなかった。誰の仕業か分からないのである。シャーロックは銀行員の1人、▓▓▓▓▓ ▓▓▓ ▓▓▓▓が事件に関わっていると睨んだ。しかし、僕たちが彼の家を訪れた時、彼は既に死んでいた。一見、自殺の様に見えたが、真相は異なる。銀行の落書きは、彼に向けた警告、死の脅迫であった。警察も「自殺」と判断していたが、まあ、無理もない…。密室、拳銃を握り締めたまま男性の遺体。状況は、彼の自殺を裏付けるものばかりだから。

でも、シャーロックの鋭い観察眼は何一つ見逃さなかった。シャーロックは、左利きの▓▓▓▓▓ ▓▓▓ ▓▓▓▓が右手に拳銃を持って自殺するはずがない。「明白だ」とまで言われてしまった。シャーロックは、そんなことに気付かない僕達を信じられないといった様子だった。悔しいが、シャーロックの言う通りだ。シャーロックにしてみれば、こんなことは朝飯前なのだろうが。シャーロックの推理を裏付けるかのように、再び殺人が起きた。殺されたのは、ジャーナリスト。またも、密室事件。被害者の男性は、鍵の掛かった部屋ならば自分の身を守れると思ったのだろう。シャーロックと僕は、被害者2人の接点を探った。例の落書きは旧式の暗号だと踏んだシャーロックは、ある「友人」を訪ねた。正しくは、「非行少年」。僕に言わせれば、あいつは「非行少年」よりたちが悪い。

全て説明すると長い話なので簡単に説明すると、僕は警察で▓▓▓▓▓ ▓▓▓▓▓の手帳を見せてもらい、シャーロックと共にシャフツベリー通りに並ぶ中国雑貨専門店を訪れた。ガラクタとも思える品々が並ぶ店だが、そこに手掛かりを見つけた。それは例の落書きが記された値札。あれは、暗号ではなく、かつて中国で使われていた「数字」だったのだ。更にシャーロックは、店の2階の住人がしばらく家を留守にしていることに気付く。しかも、窓を開けたままで…。当然のごとく、シャーロックは窓から部屋に侵入するが、僕は外で置いてきぼり。この留守の部屋の主が博物館に勤める女性であることが分かったが、この時点で僕はかなり混乱していた。これらの人々や場所に一体どんな繋がりがあるのか。銀行を訪れたことなど、もう遥か遠い昔の出来事の様に感じていた。

博物館に勤める女性の名は、スーリン。非常に聡明な人物だった。命の危険を感じた彼女は、博物館に身を隠していたのだ。でも、そこに身を潜めていた本当の理由は、古い中国の急須の手入れを怠らない為。ばかげた話に聞こえるかもしれないが、その姿はどこか美しくも見えた。シャーロックですら、感心した様子だった。彼女は僕たちに、ある密輸組織の話をしてくれた。そして、裏切り者を消すために送り込まれた暗殺者の話も…。そう、それが、銀行員とジャーナリストの死の真相である。

そして、彼女の死も…。

中国の骨董品が、密輸されていたことを知った。仕事柄出張の多い、銀行員とジャーナリストの2人は、怪しまれずにイギリスに骨董品を持ち込むことが出来るし、古美術に精通していたスーリンの知識は必要不可欠だったのだ。組織が密輸した骨董品が、どこで売買されているのかは突き止めたが、暗号の意味を解読する必要があった。数字が、ある本のページを参照することは分かったのだが、問題はそれが何の本であるか。そしてその本は、だれもが持っている本でなければいけない。

そんな中、僕はある人とデートの約束があった。彼女の名は、サラ。素敵な人だ。彼女と行くようにと、シャーロックがサーカスのチケットを予約してくれたのだが、よりにもよってデートにまで一緒についてきた。僕とサラの初デートに、イカれた探偵が同行するなんて悪い予感がしていた。案の定、さっきまで隣にいたシャーロックは、いつの間にか将軍の姿をした暗殺者とステージ上で格闘をしていた。幸運なことに、そんな状況にサラは動じず、一緒にシャーロックに加勢してくれた。僕たちは無事シャーロックを救い出し、アパートに戻った。いつもながら、礼儀知らずのシャーロックは、横柄な態度でサラを邪魔者扱いしていた。だが、スーリンが暗号の一部を解読していたことを、サラに指摘されるやいなや、シャーロックは恐ろしい勢いで部屋から飛び出していった。残された僕たちと言えば、何者かに誘拐される始末。まったく、最悪な初デートだった。

気付くと、僕たちはサーカスで見た京劇の歌い手とその殺し屋の仲間に銃を突き付けられていた。僕は、サラのことが心配でならなかった。何の関係もないのに、彼女を事件に巻き込むことになってしまった。でも、一番のショックは、連中の狙いは僕ではないこと。挙句の果てに、僕をシャーロックだと勘違いし、「シャーロックの恋人」のサラをも殺そうとしていた!僕たちの居場所を突き止めたシャーロックに救われ、組織の企みも阻止された。連中が探していたのは、髪留めだった。よりによって髪留め1つのために、人が殺されるなんて! 女帝の髪留めだか何だか知らないが、所詮、髪留め。その髪留めがどこにあるのか、シャーロックは知っていた…。前に見たことがあるらしい。こうして、謎解きは終わり、事件も無事解決した。この数日の間に、中国からの暗殺者、京劇の歌い手に扮した殺し屋、暗号、ロンドン地図帳に隠された秘密のメッセージ、密輸組織、言い出したらきりがない、色々な事に遭遇した。そうだ、美しい女性にも会った。まるでジェームズ・ボンドばりの展開だった。

今の生活の方が楽しいのは確かだ。僕に、小市民の暮らしは向いていないのは分かっている。ただ、今の暮らしを続けるには、命がいくらあっても足りないのも確かだ。だが、「コンサルタント(諮問)探偵」であるシャーロック、僕は彼の「同僚」であり続けることを決めた。世間にシャーロックの名が知られるようになった今、彼は有名人だ。例のタクシー運転手が言っていた「モリアーティ」とやらもシャーロックのことを知っている。あの京劇の歌い手もシャーロックのことを調べ上げていた。また何者かに襲われるのも、時間の問題かもしれない。果たしてその時、僕たちだけでなく、サラやハドソン夫人にまで危害が及ぶのだろうか。彼の冒険に魅せられた人々の…命の保証はない。シャーロックと僕の身も危ないかもしれない。そして今、僕はシャーロック・ホームズに迫り来る「何か」の脅威を感じずにはいられない。