子供の頃から乗り物が好きで、クルマ、鉄道、船、それに飛行機と色々な移動機械に興味を持ってきました。

クルマは一番身近で、国産車であればほとんどの車種を目にすることができました。鉄道も新幹線を含めて、こちらは実際に乗れました。一方、船や飛行機は遠い存在でした。特に関心が高かったのが、軍艦や軍用機だったのでそれは尚更です。雑誌の記事などで見るしか手が無かったのです。そう、50年ほど昔の少年雑誌では、戦艦や軍用機をよく特集していたんです。いわば、遅れてきた軍国少年がたくさんいたんですね。

雑誌ではその時代の最新の戦闘艦、戦闘機も扱っていて、特にアメリカの軍用機械には機能のために絞り込んだゆえの美しささえ感じたのを覚えています。

その中である種の衝撃を覚えたのが、当時センチュリーシリーズと呼ばれたジェット戦闘機群の中の飛行機でした。

コンベアF102デルタダート。三角翼の迎撃戦闘機です。何に衝撃を受けたかといえば、デルタ、つまり名前が表す三角のモチーフがこれでもかというほどボディのデザインに使われていること。そんなにこだわって何のメリットがあるの、と突っ込みたくなります。

具体的には、主翼が三角であることはもちろん、垂直尾翼も三角。それ位なら、たいして驚きはしませんが、コクピットのキャノピーまでがデルタを忠実に採用していたのには、なんで、と思いました。先ず断面が三角形であり、前面部分がこれまた三角形になっています。それだと、パイロットの正面にピラーがきてしまい、視野の妨げになるのではないか、と疑問が湧きます。こだわりの価値ある？

でも、機能的に必然とは言えないところまで、モチーフを貫いていることに逆に、凄みを感じました。性能最優先でデザインするのが本筋であるだろうに、遊び心さえまぶしてしまう。余裕と言うのでしょうか。少年時代に強烈に焼きついたアメリカのイメージでした。

ちなみにこの機体は成功作とは言えず、同じデルタ翼の後継機、というか、改良機が開発されています。F106デルタダガーです。恐らく直進性を高めるためでしょう、垂直尾翼の面積が増やされ、結果として台形になってしまいました。それでも、胴体断面は明らかな三角形になり、こだわりはキープされています。

アメリカの凄み、戦闘機に見た。