かみさんが退院し、我が家へ戻ってきたのは10月29日。
午前11時、彼女はまず父に、帰宅と今後は父の世話は出来ないとの報告をした。
父がどう反応するか、固唾を飲んで相対したが、前節同様あの時のことは無かったの如く有料老人ホーム行きを了解した。
何はともあれ私は胸を撫で下ろし、父の入所の準備に邁進した。

11月1日、その日は来た。
父に“最後の”昼食の世話をして、午後1時、有料老人ホームに到着。
父は受付の職員に「よろしくお願いしますね~」などと陽気に挨拶して、“終の棲家”となる部屋に入った。
南向きの3階部屋。環境は最高のはずだ。
その後1週間、私は父に快適な生活をしてもらうために、何度も父の部屋を出入りした。
その後も週一度は必ず父に面会に行き、足りないもの欲しいものなど、きめ細かく対応している。

12月11日、父は96歳の誕生日を迎えた。
2月6日、入所から3か月が経過したが、父は認知症の「に」の字もなく、体調も自宅にいた時よりずっと調子が良い。
ただ、生活は以前より格段に良くなったはずだが、父はまだ自宅に戻る希望は捨てていないようだ。
私にはまだまだ気の抜けない日々が続く。