井上陽水が静岡にやってきた。
陽水のライブは30ン年前、かみさんと結婚する直前、武道館へ二人で見に行って以来だ。
私はずっとこの日を待っていた。

5月8日、会社を早退してかみさんと静岡市民文化会館へ向かった。
午後5時55分、ホール前広場には開場を待つ人々が長い列を作っていた。7割方は私と同年代のカップルか女性グループだ。
ロビーで「WoodyBell」のS木さんにお会いした。奥様とご一緒だそうだ。
6時過ぎ席につく。真ん中で、前が通路なので足が伸ばせてステージが良く見える。上等席だ。

6時36分開演。赤いYシャツに黒っぽいスーツの陽水登場。
闇夜の国から」(シングル 1974年)
断絶」(「断絶」1972年、陽水のデビューシングル)
心もよう」(「氷の世界」1973年)
3曲懐かしいナンバーが続き、第一声。
「え~っと、皆さん新緑の季節、如何お過ごしですか~?」「富士山が世界遺産に登録され、おめでとうございま~す。お祝いに駆けつけました。」
会場大いに沸く。続いて、
ダンスは上手く踊れない」(「9,5カラット」1984年)
飾りじゃないのよ涙は」(「9,5カラット」1984年)
目が覚めたら」(「永遠のシュール」1994年)
五月の別れ」(「UNDER THE SUN」1993年)

バンドは陽水(アコギ4本)、ベースの高水健司(E.b3本とW.b)、E.Grの長田進はテレキャス、ストラト、レスポールなど曲が変わるたびに取っ換え引っ換え数えきれない。Dsの山木秀夫、キーボードは二人、小島良善と佐藤準。

ソロで弾き語り「帰れない二人」(「氷の世界」1973年)
アコギ1本の弾き語りを数曲期待していたが、これ1曲だけだった。
次の曲が意外だった。10ccのカバー「I'm Not In Love」。さすが陽水、いいアレンジだ。
続いてはお嬢さん(依布サラサ)に提供した曲「Kyahoo!」。これは博多弁連発の異色作。

ライブは佳境に。
リバーサイドホテル」(「ライオンとペリカン」1982年) 会場は俄然盛り上る。関係ない話だが、私のカラオケレパートリー。
灰色の指先」(「White」1978年)
バレリーナ」(「バレリーナ」1983年) 私が感じたこの日のベストパフォーマンス。
Just Fit」(「ガイドのいない夜」1992年)
ビルの最上階」(「九段」1998年)
ここで陽水のMC「次が最後の曲です、というわけでもないんですが・・・」と言いつつ、
氷の世界」(「氷の世界」1973年)会場の盛り上がりは最高潮。
陽水が吹くブルースハープが素晴しい。凄い肺活量だ。
ラストは渋く「積み荷のない船」(シングル 1998年)

少々待たせて白いシャツに着替えた陽水が再び登場し、アンコール。
何んとパフィーの「渚にまつわるエトセトラ」。
続いて「夢の中へ」(シングル 1973年)
会場はほぼ総立ちで興奮は最高潮。
少年時代」(「ハンサムボーイ」1990年)で有終の美を飾った。

以上20曲、ぴったり2時間のライブだった。
各曲カッコ内は収録アルバムタイトル。年号はリリース年。
振り返ると最近10年間の作品は全く無く、古い曲が多い。彼は膨大なレパートリーの中で、デビュー曲など古い曲を大事にする。そんな陽水が大好きだ。


  

遅い夕食はセノバ脇の蕎麦屋さん「吉野」。
十割のおろし蕎麦、静岡おでん、日本酒「磯自慢」の純米吟醸を注文。
この店のおでんは真っ黒。究極の“しぞーかおでん”だ。勿論味は最高。
私は「磯自慢」を初めて飲んだ時、日本酒に対する認識が変わった。世界に誇れる静岡の地酒だ。蕎麦は言うまでもなく絶品。
極上の音楽と食。満足200%の夜だった。