紙にも印刷できる半導体インク、米研究者が開発<ITmediaNews>


米Polyeraが開発した新しい半導体インクは、インクジェットプリンタでプラスチックの薄いフィルムや紙などさまざまな素材に印刷でき、曲げられるディスプレイも可能にする。 (ロイター)
2009年01月22日 16時34分 更新

 米国の研究者が新種の半導体インクを開発した。このインクが実用化すれば、企業は折り曲げられるコンピュータディスプレイや小売業者の在庫管理に役立つ安価なセンサータグを製造できるようになるだろう。

 米PolyeraのCEOを務めるフィリップ・イナガキ氏によると、同社は研究者が発見した新しい素材を用いて、負の電荷を帯びることができる溶 性の半導体インクを開発したという。Polyeraは米イリノイ州スコーキに拠点を置く特殊化学製品メーカーであり、フレキシブルな電子機器やプリントさ れた電子機器のための各種素材の開発を手掛けている。

 従来の半導体は、基本的に2種類に分かれる。正の電荷を帯びるP型と、負の電荷を帯びるN型だ。

 Xeroxの研究所が2004年に開発したもの も 含め、これまでの半導体インクは正の電荷しか帯びることができないものがほとんどだが、今回開発された新しいインクはN型だ。この半導体インクは Polyeraの研究者とドイツの化学薬品企業BASFの子会社BASF Future Businessの研究者が共同で開発したもので、その詳細についてはNature誌で発表されている。

 「(P型とN型)両方が揃えば、より高速で、より信頼性やエネルギー効率の高い回路とプロセッサを製造できる。これは非常に重要なポイントだ」とイナガキ氏は電話取材に応じ、語っている。

 同氏によると、新しい半導体インクは調整を加えたインクジェットプリンタを使って、プラスチックの薄いフィルムや、さらには紙まで、柔軟性のあるさまざまな素材に印刷できるという。

 「最終的な目標は、新聞紙のように印刷できるようにすることだ。そうなれば、本当に高速で、なおかつ非常に安価だ」とイナガキ氏。

 それが実現すれば、ほとんどの消費財に安価なRFIDタグを印刷できるようになり、小売業者は在庫を管理しやすくなるはずだ。

 「このインクのおかげで、それなりの性能を備えたRFIDタグが大いに活用されることになるだろう。今より複雑で便利なフレキシブルディスプレイ も実用化されるだろう。実際に折り曲げられるようなディスプレイだ。そして、新しいタイプのセンサー技術も実現するだろう」とイナガキ氏は語っている。

 Polyeraの最高技術責任者(CTO)を務めるアントニオ・ファケッティ氏によると、同社は新素材の設計に当たり、製薬会社が新薬の調合を見つけるのと同じような手法を用いたという。「新しい分子を見つけようというわけだ」と同氏。

 今回の場合、ファケッティ氏は核に電子を含まない分子を開発し、それを負の電荷のトランスポータとして機能させたという。「この分子が非常に効率的に電子を運んでくれる」と同氏は説明している。

 また同氏によると、この分子は溶剤で融解できるため、インクとして使うことが可能だ。同社は「ActivInk」というブランド名でこの技術を商品化する計画という。

 イナガキ氏によると、新しいインクの製造は非常に簡単なはずという。同社は、電子機器メーカー各社がこの柔軟性に富む、印刷可能な新しいプロセッサ技術を使って、さまざまなデバイスの開発に役立ててくれることに期待している。

 「われわれはこの分野でまだ非常に初期の段階にいる。初めての製品がようやく登場しようかというところだ。だが現在の半導体技術と同じくらい大きな何かを生み出せる可能性を秘めている」とイナガキ氏は語っている。

<ITmediaNews記事本文より>


凄い!インクジェットプリンターでテレビがインスタントに出来ちゃう時代も来たりして。。。w


この技術を応用したらショップの値札が、紙だけで盗難防止警報機能付きに出来ちゃったり、バーコードなしで情報を読み書き出来るようになったりするのでしょうね。。