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〜働くを、もっとタノシク~

平凡な女子大生3人お届けする、社会人への突撃取材ブログ☆
「自分らしく、楽しく、イキイキと働く」ためのヒントを、
実際に働いている大人の方々から聞いてきました!

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今回取材したのは、GS進学教室の代表で、講師や心理カウンセラーとしてもご活躍中の後藤高浩さん。教育業界・受験業界での「ハタラク」についてお話を伺ってきました。



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◆塾講師という仕事を始めたきっかけを教えてください。


大学3年生の時、大学の就職課でアルバイト求人を眺めていて、ふと目に入ったのが進学塾の講師アルバイトの募集でした。そこでアルバイトを始めたのがきっかけで、そのまま25年以上、現在の仕事を続けています。



◆もともと教育の仕事に興味があったのですか?


教育に興味があり教職課程は受講していましたが、先生になろうなんて全く思っていませんでした。正直に言うと、アルバイト選びの基準は「割の良さ」でした。家に余裕がなくて、学費を自分で払わなきゃいけなかったんです。そこで一番時給が高い塾講師の仕事を選んだのがきっかけでした。



◆きっかけはアルバイトなんですね!実際働いてみて、どうでしたか?


1~2週間経った頃から、もうハマっちゃいました!(笑) 子供たちは「先生!」「先生!」と無邪気に集まってくるし、こっちが一生懸命に準備すれば、子供はそれに応えてくれる。本気と本気のぶつかり合いができる。ああ、これはおもしろい良い仕事だなあと思いました。



◆塾講師って、受験の結果を左右する責任重要な仕事という印象があります。指導する中でどんなことを大切にしているですか?


大切にしていることは、2つあります。


1つめは、「本気で」子供たちと向き合うことです。子供を本気にさせるためには、周りの大人が本気にならないといけません。子供たちは、相手の大人が本気かどうかをすぐに見抜きますからね。親や講師たち大人が、自分のためにこんなに本気になっている… それが伝われば、子供たちも本気を返してくれるようになります。


2つめは、「強く生きる力」を身につけてもらうことです。受験では、最後は一人で試験会場に送り出さなきゃいけないし、社会に出た後も自分の力で壁を乗り越えていかなきゃいけない場面がたくさんあります。こうした場面を乗り越えられるかどうかは、過去に困難に逃げずに立ち向かい、本気で努力をして「自分で」何かを達成した経験があるかないかによるところが大きいと考えています。
その達成経験を積む場として、受験は本当にいい機会だと思っています。だから講師として、手取り足取り指導するその場限りの教育ではなく、長い目で見た時に生きてくる「強く生きる力」を身につけてほしいと考えています。



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◆確かに、達成経験はその後の自信にも繋がりますよね。


そうなんです。でも、どんなにテクニックを覚えても、どんなに時間をかけて勉強しても、結局本人が「やりたい!受かりたい!」と思わないと受験勉強は始まりません。



◆そういった意味では、就職活動と似ているところがあるかもしれませんね。


そうですね。最近子供たちを見ていて思うのは、目標や意志を持てない子が増えているということです。なぜ、目標や意志を持てないのか。これは自分に自信がないからです。残念なことに、「どうせ自分なんて」「自分にはできない」と考えてしまう、打たれ弱い子が最近本当に増えてきました。



◆どういった原因があって、そのような子供たちが増えているのでしょうか。


ひとつは親や周りの大人の接し方に原因があると思います。ダメなところばかりに目を向けて、その子の良いところや長所を注視してあげられていないからことが多いと思う。社会の問題もあるでしょう。
でもこれを克服するためには結局、「自分はやればできるんだ」という達成感を味わうことが必要なんです。先ほどの話に戻りますが、「苦しかったけど諦めず頑張ったから、これだけの結果が出せたんだ!」という成功経験を、受験を通じてさせられたらなと思います。打たれ強い子を育てたいんです。自己肯定感という言葉がありますが、受験を通してこれを持てるようにしてあげられたらいいですよね。そういう意味で、私は受験を「必要悪」だとは思っていません。むしろ「必要善」です。



◆なるほど。親子関係という点でいうと、私も受験や就活で親との意見の不一致に悩むことが多かったです。(笑)


親子は違って当たり前なんですよ。意見違った際、家庭内で親子の話し合いがうまくできればいいけど、なかなかそうはいきませんよね。高校受験を控えた中学生の場合、女の子は感情的になってしまうし、男の子はほとんど喋らなくなってしまったり…そうした親からの相談も、よく受けますよ。
親と子の媒介役-私はこれも塾の講師の役割の一つだと考えています。保護者を巻き込まないと受験はやっぱりうまくいかない。塾講師が親子間の関係を強くする媒介者になれるかどうか、ここにも塾講師の力量が現れると思います。


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◆塾講師が相手にするのは、生徒だけではなかったのですね!世代が違う二者の意見をすり合わせるのは、大変そうです…。


そうですね。でも、両者は考えの過程こそ違うものの、「幸せになる」という最終的な目標では一致しているんです。



◆お話を聞いていて、「子供の幸せ」というキーワードが出てきたように感じますが、それが仕事のモチベーションに繋がっているのですか?


そうですね。よく「どうして子どものためにそんなに頑張れるの?」とよく聞かれます。でもそれは、挑戦する姿や打たれ強く育っていく子供たちの姿から自分も幸せをもらっているからだと思います。

ただ、本気で「子ども及びその家族の幸せ」を考えた時、ある時から塾講師の限界を感じるようになりました。送り出した生徒の将来を見守ってあげられないことや、打たれ弱く自信のない子供が増えているのに、受験だけでそれを解決できるのか…様々なことを考えた結果、問題の根底から解決をしなくてはと考え、心理カウンセラーの勉強を始め、資格を取得しました。そのうちの1つが、「家庭療法カウンセラー」です。



◆塾講師兼家庭療法カウンセラーとは初めて聞きました!家庭療法カウンセラーとは、どんなお仕事なんですか?


子供に起こる問題の原因のほとんどは家庭にあるという考えに基づいたのが家庭療法カウンセリングです。まずは親子それぞれから個別に話を聞くことから始まり、そこから両者の摺合せをするのが仕事です。


◆なるほど。先ほどの受験での親子関係と共通するところがありますね。


そうですね。ただ先ほどの話にも合った通り、最終的には違う価値観は擦り合わないんですよ。まずはそれぞれの話を聞き、お互いに違う価値観があるということを納得してもらうことから始めます。



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◆「聞く」って意外に体力のいる行為ですよね。親子間の重い問題と向き合い聞き続ける根気強さはどこからくるのですか?


カウンセリングは、聞くことが仕事ですからね。確かに「聞く」という行為にはものすごくエネルギーが要ります。1時間のカウンセリングで、ぐったり疲れることもあります。でもカウンセリングを数回繰り返すと、次第に明るくなって元気を取り戻してくれるケースが多いんです。根気強さは我慢ではありません。カウンセリングの1回2回じゃ変わらないことを覚悟すること、そして焦らないと決めているからこそ、続けられているんだと思います。

カウンセリングって、何かを変えてあげるのが仕事ではないんです。本人が立ち直り、自分の力で元気に歩き出すための「補助」をしてあげるのがカウンセリングの仕事です。そういう意味では塾講師と同じかもしれません。立ち上がるのを手伝い、最終的には自分が手伝わなくても自力で歩いて行けるようになってもらうこと、これが最終目標です。



◆塾講師としてのお話に戻りますが、大手の進学塾から独立し、GS進学教室を設立されたとのことですが、雇用される側と経営する側を経験されて、どんなことを感じてますか。


独立してからは、自分の思うように100%できることに楽しみを感じています。会社にいた時代ある程度自由にやっていましたが、やはり会社という枠の制約がありました。やりたいこと、伝えたいこと、訴えたいことも、70~80%の実現であることが多かったです。それが今では全責任が自分にあるので、100%で実行できます。これは素晴らしいことだと思いました。
一方で、会社勤めがこんなに楽なのかと驚いた面もあります。決まった日に給料が振り込まれるってなんていいことなんだろうと。(笑) 独立は面白いし楽しいけど、社員に給料を払うことも含めて、全部の責任が自分にある。厳しいことも多いなあと感じています。



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◆独立前からそうですが、後藤先生を見ていると「イキイキ楽しく働いているなあ」と言う印象を受けます。イキイキ楽しく働いている人の共通点、ずばりなんだと思いますか?


1つは、やらされてやっていないこと。同じことをやるにしても自分で判断、工夫している人は楽しそうに働いています。上司から嫌な仕事を受けることになったとしても、そこに自分の判断やアクションを入れる。そんな人は楽しそうに働いています。
2つめは、自分がやっていることが何に繋がっているのかを考えていること。常に10年後の自分の姿を想像しながら生きている人は、それが直接夢に繋がらないことだとしても、目標があるからこそ仕事を頑張れるのではないでしょうか。



◆ありがとうございます。就活を控えた(もしくは真っ最中の)JobPedia読者へ、メッセージをお願いします。


社会に出たら、理不尽なことはいくらでもあります。苦しい時や理不尽さを感じた時は、誰かの力を借りてもいいから、立ち向かって乗り越えてほしいです。今の若者たちの転職率は非常に高いですよね。もちろんやりたいことを追及するのは良いことですが、どうやら一番楽しいところが分かる前に、逃げたり辞めてしまう人が多いように感じます。


ここで自分が伝えたいのは、苦しいのは自分が成長の過程にあるからだということで。成長してないと苦しくないはずだし、逆にそこで成長しちゃえば苦しくなくなります。人間、成長している過程が一番苦しく感じるものなんです。

転職なり退職なり判断を下すのは、せめて乗り越えてからにしたらどうかなと思います。とはいえ、大きな壁は一人だと乗り越えられないのかも多いと思います。そういう時のために、20代の頃は心の拠り所、メンターといった本当に困ったときに立ち戻れる何か(本や人、場所など)を持っておいてほしいです。本当に困ったときの対処法を決めておくと、気持ち的には楽になるものですよ。



◆すごく励まされる言葉です。有難うございます。では、新卒で入社を控えた学生へメッセージをお願いします。


どの業界でも同じことが言えますが、やっている以上は自分がその仕事で日本一、世界一になるという意識を持ってほしいです。そうすることで仕事をするうえでの工夫やアクションは生まれてきますし、研究、勉強にも励む必要が出てくるはずです。要は適当な仕事、とりあえずの働き方でいいやというのは絶対にやめてほしい。やる以上は自分がトップを目指す気持ちを持って、プロフェッショナルに働いてほしいですね。



◆今後の後藤先生のビジョンを教えてください。


GS進学教室を、生徒と保護者の満足度日本一の塾にすることです。
あともう一つは受験の合否を問わず、関わった生徒や家族にとにかく幸せになってもらうことです。長年講師を続けているので、最近は昔の教え子の子どもを教えることもあるんです。今度は、孫を教えるのが夢ですね。それまで現役で頑張らなきゃ…



◆最後の質問です。後藤先生にとって、「働く」とは。


「人生そのもの」です。
仕事が人生の大半の時間を占めるなら、仕事の上で幸せにならないと人生幸せになれないと思います。何事も「やらされている」という感覚では幸せになれません。こんな素晴らしい仕事して、人間的にも成長できて、それでお金をもらえる。そういう想いを、若い人には持ってほしいなと思います。


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◇編集後記


実は今回インタビューした後藤先生は、私の高校受験でお世話になった恩師でした。


目標設定は高いものの自分に自信が無く、毎日「やはり自分には無理なのでは」と不安と焦りに苛まれていた私も、後藤先生の「本気」によって救われた生徒の一人です。


今回あらためてお話しをお聞きし、子どもの幸せにこだわる「本気」と「熱意」に改めて心を打たれました。

最終的に自分がいなくても、自分一人のチカラで困難を切り拓くことのできる、真の意味で強い人間を育てること。そこに徹底的にこだわり挑戦を続ける後藤先生の「ハタラク」は、これからもずっと続いていくことでしょう。


「ハタラク」を通じて子どもの人生に寄り添い、その子どもの中に内実的な力をつけさせること。その魂や教えは、きっと人と人との関わりあいの中で残っていくものです。教育の仕事の本質を、今回の取材で理解することができました。


後藤先生、このたびは本当にありがとうございました!



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ライターMonica