1885年、ルイ・パスツールによって弱毒狂犬病ワクチンが開発された[10]。これは狂犬病を発病したウサギの脊髄を摘出し石炭酸に浸してウイルスを不活化するというものであった。パスツールは狂犬病の予防ワクチンだけでなく、すでに感染した患者にワクチンを投与することで早期なら治療が可能であることも発見している。
現在、狂犬病のワクチンとしては動物の脳を用いて狂犬病ウイルスを培養して作成した動物脳由来ワクチンと培養組織を用いて狂犬病ウイルスを培養して作成した組織培養ワクチン(PCECV)とがある。いずれのワクチンも狂犬病ウイルスを不活化して作製した不活化ワクチンである。動物脳由来ワクチンとしてはヤギ脳由来のセンプル型のワクチンと乳のみマウス脳由来のフェンザリダ型のワクチンがある。一方、組織培養ワクチンはドイツと日本で製造されているニワトリ胚細胞のワクチン(PCEC:purified chick embryo cell vaccine) のほかに、フランスのヒト二倍体細胞ワクチン、VERO細胞ワクチン(PVRV:purified Vero cell rabies vaccine) がある。
動物脳由来ワクチンは組織培養ワクチンよりも免疫原性が低い上に副反応が強い。日本を含め先進国で受けられるワクチンは組織培養ワクチンである。しかし、一部の途上国をはじめ世界的には動物脳由来ワクチンが流通しており、動物脳由来ワクチンしか手に入らないことが一般的である。