<東南アジア・タイ・マレーシア採集旅行>(タイ編)

タイ上空に着いてまず感動したのが広大で美しい熱帯雨林。
空港へ降り立ってまず感じたのが尋常じゃない湿度の高さ。
持って行った外国語の本があまりの高湿度でふやけていた。
程なく電車に乗りバンコクからチェンマイへの長距離移動となった。
ハッキリとは覚えていないが12時間~24時間位かかったと思う。
残っていた列車のチケットを見るとバンコク~チェンマイ:16時間と自筆で書いてあった。
チェンマイに着いた俺はチェンライの山地を目指すべくすぐに自転車を組み立て始めた。
すると現地の観光案内屋らしき男がしきりに声をかけて来て、山は遠いだの暑いだのと五月蝿い。
確かに山は見えない程遠い、しかしそんな事は周知の上だ。
結局その男に纏わり付かれてチェンマイ市街を観光する破目になった。
更にはなぜかチェンマイの安宿(ゲストハウス)の予約までさせられてしまった。
俺のHARD・WILD・SURVIVORな採集ツーリングをするという意気込み
はどこへ行ったのか。
そこから数日間チェンマイ市街を拠点に周辺をウロウロする破目になった。
まあ、結果オーライだったのかも知れない。ちょうどタイは暑期で暑く乾燥していて昆虫の影は薄かった。
セミは鳴いているがチョウやトンボの姿はまばらで大型甲虫の姿は皆無だった。
河沿いの灯火で夜間ゲンゴロウやシロスジカミキリが採れた程度だ。
日中は連日34℃を超え夜間は28℃を下回らない。猛暑と熱帯夜が続いた。
向こうの蚊の数は強烈でシャワーを1度する間に数百匹は殺すだろうか。

気が狂いそうだ。
すぐに近所の薬局にマラリアの薬を買いに行った。言葉が通じないと地元の訛りの強いオバハンにバカにされる。
タイの通貨はバーツで物価は日本の3分の1程度。物によって違うが1/2~1/4程度で買える。
普通の食料や衣料や日用品は1/4程度か。菓子やジュース・牛乳は1/2程度。車やバイクは半額程度らしい。
自転車やカメラは半額程度と思われるが店の中までは入ってないので分からない。
軍事用の大型のナイフを買おうとしたら日本とさほど変わらなかった。
生活必需品は安いが贅沢品や専門的な物は若干高いようだ。
外国人向けの地図や図鑑は結構高く日本で買うのと変わらない。
ゲストハウスは大抵1泊:500円程度からある。これらはマレーシアでも同じである。
現地の屋台の料理は安いがとんでもなく辛い。麺が米で出来たタイ風ラーメンは食べやすくていい。
熱帯の日差しは大変強く日中は現地の人は日陰でふやけたミミズのようにのびている。
体感温度は40℃程で日中活動するのは大変厳しい。浴びるほど水を飲まないと熱中症になる。
タイのジュースはベタ甘く、殆ど酸味が効いていない。お菓子も独特の味付けである。
日中街を物色するが暑くて町を出るに至らない。ナイトバザーで標本を探すが満足できる内容ではない。
郊外のオーキッド・ナーサリーとバタフライ・ファームへ向かうがここでも満足な標本は得られない。
結局日本の知人にシャムノ氏の住所を聞き、途中道を尋ねながら結局現地の人に案内してもらう。
ここでもオフシーズンの暑期というだけあってクワガタに関しては満足できる内容ではなかった。
キバナガノコギリやキモンシカが欲しかったのだが全く無かった。
ティティウスやセリケウスが残っていたのでそれらを買うがクワガタは決して安くは無かった。
まあシーズン中に日本人のブローカーが買い占めて行くので目ぼしい虫は残っていないという事だ。
しかしその他の甲虫は素晴らしく美しく日本で買うより格段に安かった。
ワリックツノコガネ・アカカナブン・(本当の意味での)アカアシオオアオカミキリ?やタマムシ等
庭木でパタパタしていた赤くて美しいヨナクニサンのような巨大な蛾も欲しかったが
チョウや蛾を持ち帰るケースは用意していなかったので諦めた。
そして案内してくれた人が晩餐までご馳走してくれた。てっきり殺されるかと思った。
予想以上に親切な人もいるが基本的に気を引き締めて旅に望んだ方がいいと思う。
気が弛んでいるとサギやカッパライ・ボッタクリなどの標的になる。
山には行けなかったがシャムノ氏もこの季節では行くだけ無駄との事だし結果オーライか。
やや満足して生野菜や生水は口にしなかったにも拘らず毎日下痢だったタイとお別れする事にする。
ムエタイやベタの本場はバンコクだがチェンマイのレストランでも
ムエタイショーをやっていた。
この頃はまだ若く・スピード・テクニック・スタミナ・柔軟性・共に自信があった。
のでリングに上がりたかった。でもその行動を起こす勇気がなかった。

けれど肝心の体重・体格・パワーが無いから重量級には敵わない。
階級制じゃないと闘えない。武装して不意打ちなら無敵かも知れないけど。

(余計なおまけ・20年前)

ヒメオオ採りに桧枝岐に行こうとバイクで福島目指して出発したが
滋賀からずっと雨でなんとか岐阜長野県境辺りまで走ったが
ゴアカッパ・ゴアシューズ・スパッツと完全防備にも拘らず全身ビショ濡れ、
更に日が暮れて視界は最悪。
もう走るのが嫌になって止まって駅舎で荷物を確認してみると
リュックカバーしてるのに寝袋までズブ濡れ。
もう馬鹿らしくなって翌朝一番に引き返してきた。一体何をしに行ったのか。
無駄に700kmも走って無駄に5000円も使ってしまった。
これならいつもの往復200㎞のポイントに行った方が遥かにマシだった。
そもそもバイクで福島まで一般国道で行こうというのが無謀だった。
金は掛かるが(23歳の時のように)最初から鉄道と自転車プランにして措けば

良かった。