偶然読んだ雑誌に名僧、枡野俊明氏の作品が紹介されていた。

近くへ行く用があったので立ち寄ってみた。

鶴見駅東口直結の「CIAL鶴見」の屋上庭園。

5階のエレベーターホール前に展開される禅の空間。

「禅の目的は真の自己と出会うこと」とのこと。

追われるような忙しい生活の中で、一度立ち止まり、来し方行く末を思うことができる空間。

木目の色合いの壁。

6階のエスカレーターのスペースにも飛び石が施され、石と花が配されている。

6階のエレベーターホールにも禅の空間がしつらえられている。

芝生に置かれた石の空気感が漂う。

屋上のエレベーターホール。

「月白風清（つきしろくかぜきよし）＝心にわだかまりがないこと」から名付けられた「清風苑」。「風を感じられる空間にしよう」と、周囲の景色など『地心（じごころ）』をよんで造られた。

盛り上がった土に芝生が敷かれて、種類や配置まで計算された石が置かれている。

庭の表情が眺める角度によってまったく変わる。

枡野氏の言葉、「石にはそれぞれ石の気勢『石心』があります。石と石の見えない力関係と緊張感を表しつつ、ギリギリまでそぎ落して表現します」

くさびの跡が残る石。

宇宙を思わせる石の面。

石の選定と配置が極めて重要だという枯山水。

禅では本当に大切なことは言葉や文字では表せないと考えるそうだ。庭や絵画、書という芸術によって表現し、それに触れる人は作品の奥に潜む本質を感じるのだという。

単なる自然描写ではなく、抽象化、象徴化、簡素化されたものになり、その結果生まれるのが『余白』『余韻』だ、ということだ。

枯山水を前に白砂と石のことだけを見つめたひととき。

一瞬、心を無にできたかも。

心が鎮まる禅の庭