今年のアカデミーはコロナ禍という事もあり、小ぶりな会場での開催となりましたね。

そんな中、一番の注目作品はクロエ・ジャオ監督によるノマドランドでしょう。

作品をまだ鑑賞していない小生として作品の内容や感想を述べることはできませんが、今回のアカデミー賞の授賞式でのジャオ監督のスピーチが非常に印象的だったので、そのことについて記述したいと思います。

まず、クロエ・ジャオ監督は中国出身ということですが、教育は英国・米国で受けており、米国を拠点に活躍される映画監督とのことですね。小生は今回の授賞ニュースを知るまで存じ上げませんでした。

そんな彼女ですが、監督賞を受賞された際のスピーチは非常に簡潔であるものの、非常に印象に残る内容だったと思いました。

以下、BBCの記事に文字起こしがありましたので、参照させて頂きます。

 

"There's one that I remember so dearly, it's called the Three Character Classics. The first phrase goes... 'People at birth are inherently good.' Those six letters had such a great impact on me when I was a kid, and I still truly believe them today.

"Even though sometimes it might seem like the opposite is true, I have always found goodness in the people I met, everywhere I went in the world. 

"So this is for anyone who had the faith, and the courage to hold on to the goodness in themselves, and to hold on to the goodness in each other, no matter how difficult is to do that.

"And this is for you. You inspire me to keep going."

 

彼女のバックグラウンドである中国での幼少期の回想から儒教の中心的な思想である性善説に触れ、人の善意を信じているとの強いメッセージを展開しており、慎ましくも聞いていて心打たれる内容でした。奇しくも中国は米国との貿易摩擦問題や周辺国との軍事的軋轢、ウイグル地区に代表されるような内政上の問題にも直面しており、彼女自身複雑な思いで中国を外から観察されているのでは無いかと思います。

ノマドランドは定住する家を失った貧しい高齢労働者の物語と伺っております。そして、世界にはこのような格差問題や人種差別、紛争など多くの問題が存在しており、彼女がいうようにthe opposite is trueと感じることが多々あるのではないかと思います。そんな状況下においても、自らの良心を保ち、他者の良心を信じることの大切さ、そして切実さを彼女のスピーチから強く感じました。

ぜひ皆様も一度ご覧になってみて下さい。もちろん映画もご覧になってください。小生も早く機会を見つけて鑑賞したいと思います。