経営資源を準備する
ISO規格要求事項7.1項の具体的構築事例
ISOを構築するときに、具体的にはどのような手順書や様式・帳票が必要になるのかを事例で説明します。
ISOの規格が何を要求しているのかについては、紫藍歌(アイウタ)さんの「中学生でも分かるシリーズ」をYouTubeで視聴してください。
今回は、7.1項にて、必要な人材、設備機器、情報、資金などを準備しましょう。
この動画でご紹介する内容です。
ISOの7.1項で何を準備しないといけないのかがわかります。
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目次
a)資源を見極める
b)力量を見極める
c)設備機器管理
d)作業現場の環境を整える
e)監視及び測定機器の管理
f)知識の共有、活用する
g)外部のマネジメントシステムを導入する
h)外部提供者(業者)の評価
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a)資源を見極める
『7.1.1 一般』
マネジメントシステムを構築して、運用、継続するためにはどのような資源が必要でしょうか?
資源とは、人・物・情報・資金などの経営資源を指します。
次のことを考えてみましょう。
1)組織内の人・施設・設備機器・資金・情報などは整っているでしょうか。
事業活動や新規事業を行うには、今ある経営資源にて実現できるでしょうか。
追加、増強しないといけないものは何でしょうか?の
2)外部に協力してもらわないといけないことは何でしょう。
社内に足りない経営資源や知識は外部の力を借ります。
必要に応じて、専門家やコンサルタントの依頼を検討しましょう。
b)力量を見極める
『7.1.2項 人々』
7.1.2項 人々では、マネジメントシステムの効果的に運用し、管理するために必要な人々を、
「組織図」、「責任と権限分担表」、「資格取得・力量一覧表」、
「社員名簿」等に明確にし、適切に配置しましょう。
外部の専門家の協力が必要な場合は、外部専門家の力量、
責任及び権限を定めた合意の記録又は契約を、文書で保管してください。
図は、従業員の社外資格、社内資格を明確にしたものです。
c)設備機器管理
『7.1.3項 インフラストラクチャー』
1)建物や作業場所及び事務所等は図面、もしくは見取り図に明確にしましょう。
電気、ガス、水道などがユーティリティと言われるものですが、
「【ISO4項5項6項】目標を達成しよう!その①」で説明しました。
境界図や、配置図に書き込むと分かり易いです。
2)ハードウェアとソフトウェアとを含むめた設備は「機器管理台帳」にまとめましょう。
設備の管理は、取扱い責任者を決めると責任と権限がはっきりします。
設備機器の清掃洗浄やメンテナンスは、各現場で方法、頻度、担当者を決めて、
実施記録をとるようにしてください。メンテナンスや清掃をしているかは責任者がチェックします。
3)原材料及び製品の輸送なども、定期的メンテナンスや車両の清掃やしっかり行いましょう
4)電算システム、通信も重要な管理項目となります。
特に、文書化の要求はありませんが、実際は「どのように管理していますか」
「その証拠はありますか」ということになりますので、業務の規模、種類などに合わせて
適切な文書をそろえることが必要になります。
たま、やらなければならないことを、ちゃんとやっているかを確認する仕組みも必要です。
右図の「機器管理台帳」のように、まとめてみるとはっきりします。
※このブログで紹介している様式は、あくまで事例です。
参考にしていただき、それぞれの現場に合った帳票にしてください。
設備機器管理記録例①
いつ、どのようなことを点検したか、修理したかを記録します。
図は、毎年点検した履歴を残すタイプです。
設備機器管理記録例②
図は、車両の管理状況をチェックする帳票です。
設備機器管理記録例③
図は、施設、設備の点検記録簿です。
毎日管理する箇所、月一回管理する箇所など明確にして、実施したら✓を入れるようにします。
d)作業現場の環境を整える
『7.1.4項 作業環境』
図は、作業者の衛生管理記録簿です。
業務開始前に個人の健康状態を確認します。
現場の照度を測定して、明るさが足りない場合は対策を行います。
一般作業場は150ルクス以上、倉庫などは100ルクス以上、
照度が必要な作業は300ルクス以上などを目安にしてください。
もちろん700ルクス以上の作業もあるかもしれません。
図は、照度を測った時の記録です。
e)監視及び測定機器の管理
『7.1.5項 監視及び測定のための資源』
『8.7項 モニタリング及び測定の管理 』
測定機器は、校正が必要なものは定期的に校正を実施してください。
測定する装置が壊れていたら、測定した結果も信頼できません。
計量法で法的に決められている測定機器もあります。
例えば、商品の容量表記に間違いが無いように、秤は校正が必要です。
自治体で校正を行って合格のシールを貼るところもあります。
但し、作業前の分銅を使った社内校正は必要です。
工程内の目安量を計る秤は社内校正だけで良い場合もあります。
図は、測定機器の点検表です。
測定機器を購入する場合には、原則として「校正証明書」
「トレーサビリティ体系図」などの証書が付いた機器を購入してください。
また、定期的にメーカーに校正をしてもらってください。
但し、社内原器とする測定機器のみ証書を付けて購入し、
定期的にその原器を使って、他の測定機器を社内校正する方法もあります。
裏技としては、校正代が本体価格と同じぐらいか、高い場合は
JIS Z 9090 測定―校正方式通則に、無校正の校正と言う基準があります。
校正をせずに、定期的に新規測定機器に交換する方法です。
図は、建設業の測定機器の社内校正記録です。
f)知識の共有、活用する
『7.1.6項 組織の知識』ISO9001
業務を遂行するのに必要な知識、製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識をに明確にします。
変化するニーズ及び傾向に取り組む場合、現在の知識を考慮し、必要な追加の知識及び要求される更新情報を得る方法又はそれらにアクセスする方法を決定します。
固有な知識は一般的に経験によって得られます。
それは、目標を達成るために使用し、共有する情報です。
知識は、次の事項に基づいたものであり得ます。
内部の知識源は、例えば、知的財産、経験から得た知識、失敗から学んだ教訓及び成功プロジェクト、文書化していない知識及び経験の取得及び共有、プロセス、製品及びサービスにおける改善の結果です。
外部の知識源は、例えば、標準、学界、会議、顧客又は外部の提供者からの知識収集です。
図は、建設業の知識一覧表です。
g)外部のマネジメントシステムを導入する
『7.1.5項 外部で開発された食品安全マネジメントシステムの要素』ISO22000
外部コンサルが提案したマニュアル、手順書、様式などを、導入する場合は、次のことを行ってください。
a) 規格が言っていることと合っていますか。
b) 現場、業務、製品に合っていまるか。
c) 食品安全チームによって、プロセス及び製品に適用させます。
d) 実施、維持及び更新します。
e)文書として、保持します。
その他、ネットから得られた文書や業界から提供された情報も上のa)からe)を検討します。
図は、お菓子の業界で作成された手引書です。
h)外部提供者(業者)の評価
『7.1.6項 外部から提供されたプロセス、製品又はサービスの管理』ISO22000
『8.4.3項 外部提供者に対する情報』ISO9001
外部提供者は、原料材料や設備機器などを提供するメーカーや商社、外部委託先、施設・設備機器のメンテナンス業者などを指します。
マネジメントシステムに影響を及ぼす個人及び組織で、評価してから取引します。
図は、外部提供者を評価するリストです。新規だけでなく、既存先も評価して、合格したところを登録します。
外部提供者管理事例(1)
原料材料や設備機器などを提供する新規取引先を評価する様式例です。
合格ラインをクリアしたところから仕入れてください。
緊急事態で、急きょ取引をしないといけない場合も、取引前に評価は実施してください。
外部提供者管理事例(2)
アウトソース先などサービスを提供する新規取引先を評価する様式例です。
合格ラインをクリアしたところから仕入れてください。
緊急事態で、急きょ取引をしないといけない場合も、取引前に評価は実施してください。
外部提供者管理事例(3)
原料材料や設備機器などを提供する既存取引先を評価する様式例です。
合格ラインをクリアしたら取引を継続してください。
外部提供者管理事例(4)
アウトソース先などサービスを提供する既存取引先を評価する様式例です。
合格ラインをクリアしたら、取引を継続してください。
外部提供者管理事例(5)
サプライヤーに対して、管理状況をアンケート方式で回答してもらい、改善に寄与してもらうものです。
外部提供者管理事例(6)
サプライヤーに対して、管理状況を自己監査してもらい、改善に寄与してもらうものです。
改善内容を当社でもチェックして、改善要求をお願いします。
外部提供者管理事例(7)
サプライヤーと契約を交わします。
お互いに守るべきことを明確にして、良きパートナーとして
継続的な取引を行ってゆきましょう。
外部提供者管理事例(8)
材料の安全性が私たちの製品やサービスに影響を及ぼす場合は、
安全データシートSDSをメーカーより提出してもらい、安全性を確認しましょう。
商社から購入する場合は、商社を通してメーカーに要求しましょう。
インターネットからもメーカーのデータがダウンロードできる場合があります。
外部提供者管理事例(9)
可能であれば、原料材料に関する商品規格書を提出してもらいましょう
外部提供者管理事例(10)
外部コンサルタントなど専門家の資格や力量がわかるものを提出してもらいます。
外部提供者管理事例(11)
産業廃棄物運搬業者、産業廃棄物処理業者とは、契約書を交わします。
産業廃棄物運搬許可証、産業廃棄物処分業許可証の写しを毎年もらいます。
許可取り消し後でも、営業を続けている業者がいるからです。
年1回、私たちは処理場に行って、廃棄されるところを写真に撮って
間違いないく処理されたことを確認するのですが、ここでは余り触れないでおきます。
最後に
ISO規格要求事項の解説を行ったYouTubeやe-ラーニングを用意していますので、次のホームページを参照してください。
また、ここで使用しました文書類は、ISO.netのホームページまたはベクターでダウンロードできます。無料文書、有料文書が豊富に掲載されていますので、ご利用ください。