JJTOMです。

さて、先週、補助人工心臓の読売新聞の記事(2011年10月16日)をご紹介した記事に対し、Rumiさんから質問をいただきました。 

これに私なりに調べた結果をお答えするの巻、パート(2)です。

Rumiさんからの質問(2)

「それから一緒にしてしまって申し訳ないのですが
 ↓の補助人工心臓って承認されて保険適応になってないんですかね?
 2010年に「年内にも」って記載されているのに…
 
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/health/465264/

これは、記事がまだ残っていました。
(下の方に抜粋を載せています)

これは、
医療機器大手テルモ社(東京都渋谷区)の「デュラハート」と
サンメディカル技術研究所(長野県諏訪市)の「エヴァハート」
のことだと思います。

上記、2機種もデバイスラグ問題で
長く承認されませんでしたが
厚労省の「早期導入の必要がある医療機器」に選ばれ
2011年3月、やっと保険適用になったとのことです。

以下、2011年2月18日、2010年11月20日の読売新聞
2010/11/19の産経新聞からの抜粋です。

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埋め込み式補助人工心臓、国産2種保険適用へ

厚生労働省の中央社会保険医療協議会は、重症の心臓病患者の体内に埋め込んで使う国産の補助人工心臓2機種を、3月から保険適用することを決めた。

 体内埋め込み式の国産機種では初めて。医療機器大手テルモ社(東京都渋谷区)の「デュラハート」と、サンメディカル技術研究所(長野県諏訪市)の「エヴァハート」で、体外式より細菌感染などの危険が少なく、付属装置も持ち運びできるため、在宅で心臓移植の機会を待つことも可能になる。

(2011年2月18日 読売新聞)

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年内にも 在宅で移植待機可能

 重症の心臓病患者の体内に植え込んで使える国産の補助人工心臓2機種が、年内にも製造販売を承認されることになった。

 厚生労働省薬事・食品衛生審議会の部会が19日、承認することを了承した。従来、国内の補助人工心臓は医療機関で使う体外式しかなかった。植え込み型によって、患者は在宅で心臓移植の機会を待つことが可能になる。

 承認されるのは、サンメディカル技術研究所(長野県諏訪市)の「エヴァハート」と、欧州では3年以上前に承認されているテルモ社(東京都渋谷区)の「デュラハート」。

 植え込み型は、海外の2機種が承認されていたが、製造が中止されたり、日本人には大きすぎたりして、現在は国内販売されていない。国産の2機種は手のひらサイズで、女性や体の大きい子どもにも使える。

 国内では脳死移植数が少なく、心臓移植を希望しても長期間待つ必要がある。2機種は、電源などの付属装置も持ち運びでき、待機期間の生活の質が向上すると期待される。

 「補助人工心臓治療関連学会協議会」代表の許俊鋭・東京大学特任教授は、「患者にとってメリットは大きく、ようやく欧米並みに一歩近づいた」と話している。

(2010年11月20日 読売新聞)

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国産の人工心臓2機種を年内に承認 デバイス・ラグ解消へ一歩

産経新聞 2010/11/19 23:34

医療機器などの製造販売の承認を検討する厚生労働省の専門部会は19日、心臓移植を待つ患者に使われる国産の埋め込み型補助人工心臓2機種の承認を認めた。国産の埋め込み型は初めて。2機種は年内にも正式承認される見通し。

記事本文の続き 

 欧米は小型の埋め込み型が主流だが、日本では大きな機器を体につなぐ体外設置型が使われ、入院を余儀なくされる。海外で使用されている医療機器が日本で使用できない「デバイス・ラグ」の典型例だった。

 今回承認が認められた機種はサンメディカル技術研究所(長野)の「エバハート」とテルモ(東京)の「デュラハート」。厚労省の検討会で「早期導入の必要あり」と認定され、優先的に審査されていた。

 「今使われている体外設置型は海外なら博物館に展示される“骨董(こっとう)品”。やっと世界レベルの機器が使える」。東大大学院医学系研究科重症心不全治療開発講座の許俊鋭(きょ・しゅんえい)特任教授は今回の認定に胸をなで下ろす。

 国内で使われている補助人工心臓は平成2年に承認された体外設置型の1機種のみ。体内から出た管を小型冷蔵庫大の体外装置につなぐため、患者は常に病院で生活せざるを得ない。

 今回認定された2機種は、手のひらサイズのポンプを患者の体内に入れる埋め込み型。体内とつながる体外のバッテリーは重さ数キロと携帯可能なため、患者は在宅で生活できる。

 デバイス・ラグの背景に日本の承認体制がある。在日米国商工会議所によると、医療機器の申請から承認までの平均期間は米国の約10カ月に対し日本は約21カ月と2倍以上。海外で有効性や安全性が確認されても承認には莫大(ばくだい)な費用がかかる国内の治験(臨床試験)が必要で、申請を躊躇(ちゅうちょ)する企業は少なくない。

 今回の2機種は患者や学会などの要望を受け、20年に厚労省が必要性の高い医療機器と選定。欧州で3年前に先行承認されたデュラハートは欧州の治験成績も考慮され、国内治験数を最小限に抑えたことなどが早期承認に結びついた。

 ただ、海外ではさらに小型の最新型の使用が始まっている。子供用補助人工心臓に至っては、いまだに国内で使用できる承認機種がない状態が続いている。

 臓器移植法改正で15歳未満の子供からの臓器提供が可能になり、厚労省は今年3月、ドイツ製の小児用補助人工心臓を今回の2機種同様「早期導入の必要あり」と認定し、輸入企業も選定した。しかし、莫大な治験費用などがネックで、企業はいまだに承認申請のめどを立てられない。

 大阪大医学部付属病院移植医療部の福嶌教偉(のりひで)副部長は、「補助人工心臓がない現状では、心臓移植を望む子供は海外渡航するしかない」と、早期の承認を求めている。