JJです。


久しぶりに、移植について、考えてみたいと思います。


臓器移植。


治療を目的に、他人の体の一部を、体内に移し植えること。

我々にとって、最も身近な移植とは、それは、”輸血”かもしれません。


今では、あまりに身近で、当たり前になってしまっているので、輸血が、移植というと違和感があるかもしれませんが、江戸時代の末期、いまやってるNHK大河ドラマの「坂本龍馬」の時代は、血は汚れの象徴であって、他人の血を、自分の体に入れるというのは、一般では、まったく受け入れられない考えでした。


ま、写真を撮ると魂を抜かれるかもと、思われていた時代ですので、無理もありません。

今でも、宗教上の理由から、輸血を受けたくないという方もいらっしゃいます。


たしかに、かつて輸入した血液製剤が、HIVに汚染されていて多くの方が、感染してしまった薬害エイズ事件のように、輸血には、危険があります。


それでは、いま、この時代の「輸血」というのは、どのくらい安全なものなんでしょうか?どの程度危険なんでしょうか?ちょっと、調べてみました。元になっているのは、以下の資料です。


日本赤十字 輸血情報 2005年 文書番号0606-89 遡及調査および感染症報告の解析を基礎とした輸血後感染症(HBV、HCV、HIV)の感染リスクについて

http://www.jrc.or.jp/mr/transfusion.html


この資料は、輸血に使用される血液製剤が汚染されていて、それにより輸血を受けた患者がB型肝炎(HBC)、C型肝炎(HCV)、エイズ(HIV)に、感染する危険性を、4年間のデータから算出したものです。


中身を簡単にまとめてみますと・・・・


・この資料では、2000年2月~2004年1月の4年間のデータ使われています。

・日本では、年間に輸血を受ける患者さんは、約120万人いるんだそうです。

・その年間約120万人の患者さんに供給される血液製剤は、なんと年間約580万本。
 この580万本の血液製剤は、約540万人からの献血で作られている。

心臓移植が、世界では、毎年約3500例実施されているのに、日本では、年間たった3例から11例と非常に・・・いや、異常に少ないということを知ったように、現実の数字を見てみると、実感がわくとともに、驚かされます。

毎年120万人の方が、輸血を受け、毎年540万人の方が、献血してる。すごい規模です。
輸血・・・健康な人には、縁がないかもしれませんが、定期的に、一生、ずっと輸血を受けなければいけない病気の方もいらっしゃいます。そんな方にとっては、輸血時の感染の危険性、リスクは、切実です。

この資料によると・・・・

・B型肝炎(HBV)
 献血した年間約540万人の中で、スクリーニング検査の結果、
 毎年42~43人が、B型肝炎(HBV)陽性であると推定される。そうです。
 つまり、献血をした人の約13万人に1人は、
 本人が知らない間にHBVに感染していているということ。

 そして、その陽性の血液から作られた血液製剤を輸血された患者の中で、
 実際に感染してしまいB型肝炎(HBV)陽性となってしまう人は、
 年間13~17例いるものと推測される。とのこと。

 つまり、
 年間輸血を受ける患者約120万人中、
 13~17例がHBVに感染する危険性があるということです。
 580万本の輸血で、13~17例ですから、
 輸血34万本~45万本に1件の割合で感染するとも言えます。

みなさん、この数字を聞いてどう感じました?
私は・・・・、結構、確率高いんやなぁ。。。というのが、正直な感想でした。

つづいて、C型肝炎と、HIVですが・・・

・C型肝炎(HCV)について
 4年間で献血した人の中で、スクリーニング検査で見つかった陽性者、1件。
 つまり、献血した人540万人x4年=2160万人≒約2200万人に1人が、陽性だったと推測。
 しかし、実際に輸血により、C型肝炎に感染したという事例は、報告されておらず
 「感染症例が少なく、感染リスクの推定困難」というのが、この資料の報告です。

・エイズ(HIV)について
 4年間に献血した人の中で、スクリーニング検査で見つかった陽性者、2件。
 つまり、献血した人540万人x4年=2160万人 ≒約2200万人に2人、
 約1100万人に1人が、陽性だったと推測。
 しかし、実際に輸血により、HIVに感染したという事例は、報告されておらず「
 「感染症例が少なく、感染リスクの推定困難。」というのが、この資料の報告です。

さて、C型肝炎、HIVの輸血による感染リスク。日本赤十字は、上記のように言っているのですが、みなさんは、輸血時の安全性について、どう、お感じになられましたでしょか?

私自身は、B型肝炎に比べて、確率が低いので、少しホッとしましたが、正直、輸血って、ドラマでも、実際の医療現場でも、ごく普通に、使われているようなイメージがあるので、もっと、安全なものだと思っていました。

先の、薬害エイズ事件などは、過去のことで、いまは、献血時の検査でもっと防ぐことができていて、安全だと、勝手に思い込んでいたところがありました。

輸血もやっぱり、臓器移植なんですね。

結構大きな危険(リスク)がある。

でも、どんな治療にも、リスクはあります。

我々患者は、受ける治療のリスク(危険性)と、メリット(治療効果)や、緊急度など、すべてのバランスを考えて、受け入れるか、否かを判断しなきゃならんのですね・・・。

場合によっては、治るためには、ある程度のリスクは、受け入れざるを得ないといことも、あるのでしょう。。。

それは、ケースバイケースで、個人個人が、判断しなければならないのでしょうが・・・。