日琉同祖だった。
$かつて日本は美しかった

 最近の遺伝子研究で沖縄人は九州以北の本土住民と同じ同じ祖先を持つことが明らかになっています。ではいつ頃、どこから分かれたのか。沖縄学の父といわれた伊波普猷(いは ふゆう)氏の説を中心に見てみます。

 筑紫(福岡県)に海部(あまべ)という氏族があり、この氏族は海人(あま)の部曲(むれ)であり、筑前(福岡)、隠岐、長門(やまぐち)、丹後(京都)、伊勢(三重)、尾張(愛知)、信濃(長野)まで広い範囲に分布したことから、沖縄にやってきたであろうことが考えられ、海部(あまべ)はアマミであるといいます。これが創世神アマミキヨです。「キヨ」は人のことです。沖縄方言ではe(エ)の短母音がなく、meはmiとなりmはbと入れ替わる事があるから、ビがミになったのだといいます。
 海部氏は最初、奄美大島にたどり着き、更に南へ向かい沖縄の北部もしくは西北諸島に上陸しました。久高島はアマミキヨが降り立った島と言われており、海部氏はこの島に到着したのでしょう。

 南東七大方言、沖縄、宮古、八重山、沖永良部、徳之島、大島、鬼界の方言は原始日本語から分岐したのではなく、古代日本語から分岐した一方言が、南島のあるひとつの島で発達を遂げて時をおいてそれぞれ分岐したと思われ、分岐した時期は日本の建国を遡る程遠からぬ時代となります。推古天皇の頃(7世紀)に南東人が大和朝廷に来たのは国史に語られており、訳語を設けて意思疎通したというので分離して七,八百年で大和言葉と沖縄言葉によほどの差異が生じていたとしています。
 
 琉球神道とよばれるニライカナイ信仰は多神教であり、祖霊信仰を核としています。本土の神道と酷似しており、これも伝わったからでしょう。「おもろさうし」という沖縄版万葉集には古事記と酷似したところがあります。

 平安時代末期の武将、源 為朝(みなもと の ためとも)が沖縄に渡り、その子が琉球王家の始祖舜天になったといわれる伝説があります。真偽はわかりませんが、沖縄で鎌倉時代の瓦が発見されていることから本土と交流があったことが確認されており、また、沖縄方言に鎌倉時代の言葉が多く混じっていることから、この時代に移住した人が多かったことが推測できます。本土の落ち武者が多く亡命したという話もあります。第一尚氏の王、尚泰久の家臣であった護佐丸は「丸」という名前は本土の男子に付ける名なので、本土から渡ってきた武将の一族の可能性があります。また、第二尚氏の祖となった金丸(尚円王)も本土の系統の可能性があります。

 最古の日本人の人骨は沖縄から出土した「港川人」(約1万8000年前のもの)ですが、これは南アジアからやって来て縄文人となりました。しかし、ミトコンドリアやDNA分析でも現代沖縄人は南方系ではなく、血液型のgm遺伝子の分析でも現代沖縄人は本土と同じ北方系なのだそうです。



参考文献
 平凡社「沖縄歴史物語」伊波普猷(著)
 小学館「沖縄論」小林よしのり(著)
参考サイト
 國體護持塾 天津神の御神敕(修理固成)古事記上卷
  http://kokutaigoji.com/reports/ref/ref_1_amatsukami_no_goshinchoku.html
添付画像
 八重山の海 AUTH_mariemon

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おもろさうし 十の巻

 昔初まりや

 日子大ぬしや

 美らや照り給れ

 せのみ(昔)初まりに

 日神いちろくが

 日神はちろくが

 胡散しちへ見給れば

 坐よくしちへ見おれば

 あまみきよは寄せ給ちへ

 しねりきよは寄せわちへ

 島造れでて宣ちへ

 国造れでてわちへ

 ここらきの島々

 ここらきの国々

 島造ら迄も

 日神心切れて

 せのみ(日神)うらきれて

 「あまみや首陀生すな

 しねりやすぢや生すな

 しやりはすぢや生し給れ」

解説:はじめに日の神あり、美しく照り輝いていた。日の神が海原を見渡すと島のようなものがあった。アマミキヨ(異名・シネリキヨ)を召して島を造れといい、アマミキヨは降りて、多くの島を造りはじめた。日の神が島造りが遅いとせっついてアマミヤ(南島の発祥地 異名シネリヤ)の人を生まず、下界の人を生めと言った。



古事記

 ここに天神、

 もろもろの命もちて、

 いざなぎのみこと、いざなみのみこと、

 二柱の神に、

 「このただよへる国を修めつくりかためなせ」とのりて、

 あめのぬぼこをたまひて、

 言よさしたまひき。

 かれ、二柱の神、天の浮橋しにたたして、

 そのぬぼこをさしおろしてかきたまへば、

 塩こをろこをろにかきなして引き上げたまふとき、

 そのほこのさきよりしただりおつる塩、

 かさなりつもりて島となりき。

 これおのごろじまなり。