バレエ用品店の情報について -2ページ目

バレエ用品店の情報について

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かくて一方には造船所の計画成ると同時に、一方において更にロセツより申出でたるその言に曰く、日本国中には将軍殿下の御領地も少からざることならん、その土地の内に産する生糸は一切|他に出さずして政府の手より仏国人に売渡さるるよう致し度し、御承知にてもあらんが仏国は世界第一の織物国にして生糸の需用甚だ盛なれば、他国の相場より幾割の高価にて引受け申すべしとの事なり。一見他に意味なきがごとくなれども、ロセツの真意は政府が造船所の経営を企てしその費用の出処に苦しみつつある内情を洞見し、かくして日本政府に一種の財源を与うるときは、生糸専売の利益を占むるの目的を達し得べしと考えたることならん。
 すなわち実際には造船所の計画と聯関したるものなれども、これを別問題としてさり気なく申出したるは、たといこの事が行われざるも造船所|計画の進行に故障を及ぼさしむべからずとの用意に外ならず。掛引の妙を得たるものなれども、政府にてはかかる企みと知るや知らずや、財政|窮迫の折柄、この申出に逢うて恰も渡りに舟の思をなし、直にこれを承諾したるに、かかる事柄は固より行わるべきに非ず。その事の知れ渡るや各国公使は異口同音に異議を申込みたるその中にも、和蘭公使のごときもっとも強硬にして、現に瓜哇には蘭王の料地ありて物産を出せども、これを政府の手にて売捌くことなし、外国と通商条約を取結びながら、或る産物を或る一国に専売するがごとき万国公法に違反したる挙動ならずやとの口調を以て厳しく談じ込まれたるが故に、政府においては一言もなく、ロセツの申出はついに行われざりしかども、彼が日本人に信ぜられたるその信用を利用して利を謀るに抜目なかりしは凡そこの類なり。