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| 長寿を願い、冬至の日にカボチャを贈られたゾウの春子。歯の老朽化や便秘が目下の悩みだ=昨年12月、大阪市の天王寺動物園(写真:産経新聞) |
人間の世界と同様に、動物園でも長寿の動物が増え、飼育担当者がケアに奮闘している。人間でいえば90歳以上に当たる“超高齢動物”の悩みは、歯の老朽化や関節痛、肝臓病など、年を重ねた人なら思い当たりそうなものばかり。軟らかい食事、アンチエイジング剤の投与、排泄(はいせつ)のチェックなど、担当者は「介護」さながらの気配りで対応している。
■便秘予防にマッサージ
冬至の昨年12月22日、大阪市の天王寺動物園。アジアゾウの春子(雌、推定62歳)の長寿を願って、2つのカボチャが贈られた。人間なら90歳ぐらいに当たるおばあちゃんだ。
1つは生、もう1つは蒸したもの。蒸した方は一口で平らげたものの、生は足で踏み砕いてからゆっくり食べた。ゾウ担当主任の西田俊広さん(47)は「食べ方が違うのは、歯が弱っているから。生は硬いので一口では無理なのでしょう」と説明する。
ゾウの歯は通常上下左右に計8本あるが、春子の場合はすり減ったり抜け落ちたりして4本しかない。咀嚼が不十分なためか、便秘も悩みのタネという。
「ガスが出ないときは手で左右の腹を押してマッサージする。気持ちよさそうに約3.5トンの体重を預けてくるので、10分もやれば全身汗だくになる」
西田さんによると、飼育動物の寿命が延びたのは、飼料の開発技術の向上や、野生に近い形で展示する施設が増えたことが奏功しているとみられる。「年を取ればさまざまな病気も出る。介護のような世話の仕方は、動物園を運営していく上で避けられないテーマになるはずだ」と話す。
■床ずれ防止に「Q10」
横浜市の野毛山動物園のフタコブラクダ「ツガル」(雌)は国内最高齢の推定35歳で、人間でいえば100歳を超える。業界団体からの寄付を受け、約3年前から老化防止や美肌に効果があるとされる「コエンザイムQ10」の錠剤を服用している。
飼育展示係の桜堂由希子さんは「平成14年ごろから関節炎を患い、床ずれに悩んでいたが、コエンザイムを与えると床ずれが治った」と話す。
健康管理のため、今では毎日30粒ほどを摂取しているというから、ぜいたくというか、うらやましいというか。座ったり寝ていたりする時間が長いため、餌は数メートル離し、少しでも歩かせることで運動不足の解消を図っているという。
■予防やストレス解消も
肝臓病が心配されるのはホッキョクグマ。旭山動物園(北海道旭川市)の福井大祐獣医師の調査によると、人間なら70歳前後となる25歳以上は、肝臓の疾患で死ぬ割合がほかの年代より多い。国内では平成20年9月に推定29歳の雌が肝不全で、22年10月には当時最高齢(推定30歳)だった雄が肝がんで死んでいる。
このため、若い間から、肝臓にいいビタミンAを多く与える取り組みもある。
天王寺動物園では、6歳の「ゴーゴ」(雄)に週4日、新鮮な牛レバー500グラムを与えている。人間なら20歳ぐらいだが、2日に1度はタラの肝油をかけるなど、予防に余念がない。
多くの来園者を前にパフォーマンスを披露する“役者”だけに、ストレスもつきものだ。毎日、生きたコイ2キロをホッキョクグマ舎の水にほうり込む。飼育担当の松下達夫さん(48)は「コイめがけて水中に飛び込んで、息を切らすぐらい追いかける。運動不足やストレスの解消にはうってつけです」と話した。
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