競合他社に対して総合的にコストリーダーシップや差別化で競争優位に立て 

なくても、特定地域や特定顧客に競争の範囲を限定することで、限定的に競

争優位が実現する。つまり市場あるいは産業における特殊セグメントに限定 

した範囲で競争優位を目指す。これを集中化戦略といい、集中化戦略はさら 

にそのターゲット・セグメントの中でコスト・リーダーを目指すコスト集中

と差別化を目指す差別化集中という二つの戦略に分類できます。

たとえば、航空券の業界で、格安航空券という限定されたセグメントに集中

している戦略をとるHISがその例です。

集中化戦略をとる際には、セグメント選定に二つの基準があることを理解し

ておくことが大切です。


1.自社の経営資源、組織能力の強みを発揮できるセグメントか

2.成長性、収益性の視点で魅力的なセグメントか


競争戦略とは、最大限に活用できる自社の資源、あるいは競合他社の戦略を

勘案して三つの競争戦略のいずれかを選択し、そこに経営資源を集中投下す

ることで、競争優位を築くことです。日本の企業においては、概して、競争

戦略のコンセプトが不明確で「すべての相手にすべてのものを提供」してい

こうとする傾向が強く、有効な競争戦略を採用しているとは言いがたい状況

です。強みを明確にした競争戦略構築が望まれます。日本のこれからの競争

戦略は、大手であってもコストリーダーシップ戦略から差別化戦略へ転換し

日本でしか創れない「高付加価値商品」を創り出すことで差別化すべきで

す。中小企業にあっては、明確な市場セグメントを見つけ出し、そこに集中

的に差別化する戦略をとるべきです。

先に学んだコストリーダーシップ戦略が、他社と同じものを安いコストで生産

する戦略であるのに対して、差別化戦略とは、他社にはない特徴を持つ製品や

サービスなどを提供することで、競合他社とは違うエリアで競争する戦略で

す。つまり、差別化戦略とは、「競争しない競争戦略」の手法と見ることがで

きます。差別化は製品の機能や技術的優位による場合もあれば、サービスやブ

ランド・イメージによって確立される場合もあります。同業他社の模倣をどう

阻止するかがポイントです。

差別化戦略は、製品やサービスの基本機能(1次機能)を強化することで差別

化を図ることは勿論ですが、競争優位を確実に保つためには、基本機能(1次

機能)+2次機能を強化することで差別化することが大切です。基本機能(1

機能)を強化するには技術開発力を強化することで独創的な競争優位を築くこ

とが大切ですが、基本機能(1次機能)だけで長期間にわたり競争優位を確保

することは困難です。そこで2次機能を強化することで長期間にわたる差別化

を実現することが必要になってきます。

たとえば、アサヒビールが「スーパードライ」という味の基本機能で差別化

し、優位性を築きましたが、マーケット・リーダーのキリンによるドライ陳腐

化政策により一時、その勢いを失いかけました。そこでアサヒビールがとった

戦略は、2次機能を強化することで差別化を継続させることでした。このとき

2次機能は、鮮度重視の配送システムやマスメディアを使ったブランド力の

強化でした。

このように差別化戦略は、技術革新による基本機能(1次機能)の強化に加えて2次機能を強化することで差別化を持続させることが大切です。また、差別化とは「顧客がその特徴・違い」を識別することであり、企業側が身勝手に考える差別化では市場で受け入れられません。


 製品に品質が競合他社と同じであれば、競合他社よりも低コストで製品を

 提供出来れば競争優位に立てます。コストリーダーシップは、一般的に経験 

 曲線効果、技術革新、規模の経済性などによって実現します。製品を標準化 

 して競合他社を圧倒する市場シェアを獲得するのが標準的な方法です。

もう少し詳しく見ると、コストリーダーシップ戦略には、二つの方向性が

あります。ひとつは、経験曲線効果、規模の経済性などに基づく「スケール

メリットの活用」により、低コスト→低価格販売→大量販売→低コストの循 

環で市場シェア確保を目標とするもので、もう一つはトヨタのかんばん方式 

に代表されるように「自社に特徴的な生産・流通の仕組みを構築」すること

により競争優位性を確保する方法です。

 コストリーダーシップ戦略を形成する「経験曲線効果」「規模の経済性」 

 について少し触れておきたいと思います。経験曲線効果とは、累積生産数

 量が増加すると一定割合で製品の単位コストが低下するという生産数量が 

 多いトップ企業のスケールメリットをつくり出します。経験曲線効果は、

 習熟による効果、生産設備の改善による効果、プロセスイノベーションの

 進展による効果などによりつくり出されます。また、規模の経済性とは、

 生産効率の向上や生産量の増大により実現するもので、大量消費、大量生

 産の時代における日本企業の主力競争優位の源泉でした。

企業が発展するためには競合他社に対する競争優位の確保が必要です。

これまで分析した5つの競争要因(ファイブフォース・モデル)により

見出した最大の競争要因に対して、競争優位の源泉を見出して競争戦略

を打ち立てることになります。ポーターによれば、競争優位の源泉は、

コストリーダーシップ、差別化、集中化の三つであり、この3つを

基本競争戦略と呼びます。


多くの企業でみられる現象ですが、市場のあちこちで価格のたたき合いを

続け、結果として自社の体力を消耗させています。これは企業に戦略がない

から起きる現象です。戦略があれば、単に価格競争に走るのではなく、価格

で競争するにしても、そこには「戦略的な仕組み」が構築されています。

また、価格で競争せずに他社より市場で優位に立つためにはどうするか、

さらには、どのエリア(領域)で競争優位に立つのか、戦略的な仕組みを

構築することで、企業が発展していくのです。これから、競争上、どのよう

な戦略があるのか、そして特に中小企業が競争優位に立つには、三つの基本

戦略のうち、どの戦略を採ればよいのかを考えてみたいと思います。

競争戦略をしっかりと身に着けた中小企業は強力です。



5つ目の脅威は業界内における競争関係の脅威です。ここでは

業界内での既存業者間の敵対関係に関する分析を行います。敵対関係の強さを測る尺度としては、同業者の数、類似した規模の企業数、業界の成長度、買い手のスイッチの容易度、競争業者の戦略、撤退障壁の大きさ、業界内のコスト(固定費、在庫コストなど)などがあります。

業界内での既存競争業者の脅威を和らげる方法は「差別化」です。その差別化の要因が、顧客にとって、非常に価値のあるものであれば、当然のこととして業界内で競争優位に立てます。

皆さんの近隣の繁華街に飲食店を想像してみて下さい。繁盛している店、客があまりいない繁盛していない店、など同じ地域でも多種多様なのがわかります。繁盛している店には、何か顧客である自分にとって、「他とは違う何か」があるはずです。これが競争優位に立つ要因「差別化」です。


    

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