亮太はその夜
そのまま
きょうこの家に泊まり
日曜の朝を迎えた。


スマホの着信の振動にも
亮太はピクリともせず、
何度目か。
目を閉じたまま
手探りで
やっとスマホを掴んだ。

『うん‥うん‥いいよ。
 疲れてるから、今日はゆっくりするよ。
 いいよ、来なくて‥うん』

スマホを放りだす。


そして、また寝ようとするようだ。


ずいぶん先に目覚め
一連の動きを
ソファに座って見ていた
きょうこ。


『ね?彼女からでしょ?』

『おぅ』

『なんて?』

『今から俺んち、行こうかな‥だって』

『じゃ早く帰りなさいよ(・_・;』

『もう断ったし。
 今日は俺、ここで過ごす』

『いやいやいやいや‥
 その行動はおかしいって。
 私のことを心配してくれるのは
 ありがたいけど、
 休日に
 彼女と過ごさないとか、
 ちがうでしょ、これ』
 

亮太がベッドから降りてきて
きょうこの隣に座る。


『こっちが俺の彼女だし』

『じゃ、じゃあ、あっちは何なのよ(-_-;)』

『カオリはさ。。。
 彼女んち
 オヤジさんと兄さんで
 会社やっててさ。
 将来的に俺、家業を継ぐだろ?
 だから、ビジネス的にも
 繋がっておくのに
 何かと都合いいんだ』

『合理的で、亮ちゃんの考えそうなことだな。
 でもね、
 昨日、会ってみてわかったけど、
 彼女、いい子だしさ。
 亮ちゃんのこと、本気で好きだよ?
 大事にしたほうがいい。
 やっぱり今日は帰って
 相手してあげなよ、ね?』


『いえ、帰りません』

帰れ、帰らない、
のやり取りはしばらく続く。


遅めの朝ごはんを食べさせ
早めの昼ごはんも食べさせて

やっと夕方になる少し前。
ごねる亮太を帰らせることに成功する。


(何やってんだ、私)
大きな疲労感で
きょうこはすぐにソファで意識を失った。