駅に辿り着く。

雅樹が『いつものバー、寄ってく?』
と声をかける。

『ありがと。今日はこのまま帰るよ。
 なんか疲れた』


『大丈夫か?
 な、、もう亮太とは終わりにしろよ』
雅樹は本気で心配している。


『そうだね。
 潮時って、こういう時なのかもね』と
きょうこは笑った。

『うん。それじゃまた月曜日な』

『うん。おやすみ』
2人は改札を抜けたところで別れた。



きょうこは
早く風呂に入って寝てしまおう。
これからのことは明日考えよう‥と
急いで家に帰った。


の、つもりだったが。



玄関のドアの前に
人影が浮かんだ。
誰かがドアにもたれかかっている。


『おかえり』


そこにいたのは、
きょうこの顔を見て
嬉しそうに笑う亮太だった。


『なんで? 
 彼女は?』


『とにかく、入れてよ』


きょうこは
悪いことをしているかのように
周りを見渡して
ドアを開け
亮太を中に入れた。


『何よ、どういうことなの?これ』


『まあまあ💦
 とりあえず、座ろ?
 今日はお疲れ様』

亮太は
きょうこをソファに落ちつかせ
冷蔵庫からビールと栄養ドリンクを持ってきて、栄養ドリンクをきょうこに持たせた。

『こんな時間から、カフェイン
 体に入れません。
 で、彼女は?』


亮太は
缶を開けて、ビールを一気に飲んだ。
『(彼女は)あのあとすぐ
 タクシーで家に帰らせたよ』

『なんてことするのよ!
 せめて送ってあげなさいよ(-。-; 
 そんなんじゃ、彼女を幸せになんか‥』
 

『彼女のことは今
 どうでもいい。
 今日のきょうこ、
 元気なくて
 疲れてるっぽい顔だったし
 心配なってさ。
 だから来たんだ』



(また、やられた。。)
心にぽっかり開いた大きな穴は、
その一言で埋まる。