一睡もしなかったビニは、
早朝の散歩に出かける母の後を追った。
『おはよう。母さん』
『おはよう。あなたも歩くの?
でもまあ酷い顔ね。。二日酔い?』
2人は並んで歩く。
『違うよ。考えごとをしていて
眠れなかったんだ』
『悩みがあるの?』
『ああ。ヒトミがさ。
離婚してくれって言い出して』
『離婚??あなた、何かやったの??
‥それとも、私のイビリのせい‥?』
『確かに母さん、よく虐めてたよね(ーー;)』
『もし、私との同居が辛いなら、
2人で家を出ていってもいいのよ?
私は今ではヒトミさんのこと、
気に入ってるしあなたの面倒を見れるのはあの子しかいないもの。数ヶ月だけど、一緒にいてそれがよく解ったの。私は大丈夫だから、一緒に出ていきなさい』
『彼女、、、よその男の子どもがお腹にいるんだ。。』
『な、、なんですって?!
それなら止めない!離婚しなさい!
すぐに追い出しなさい!』
母は興奮して、フラついた。
ビニは母を支え、
歩道の脇にあったベンチに座らせる。
『僕は別れたくない。
彼女を愛しているから』
『何言ってるの?あなたは裏切られたのよ?!』
『僕と結婚する前の話で、
もうその男との縁も切れている。
妊娠は最近、わかったみたいなんだ』
『あなたの子じゃない、のは確かなの?』
『はい。でも、僕はその子どもを育てたい。
母さんも許してやって欲しいんだ。
母さんが後押ししてくれたら、ヒトミも留まってくれるはずだから』
『どうして赤の他人の子を育てなくちゃならないの?』
『母さん。。僕、考えたんだ。
父さんが以前、
他の女の人に産ませた子のこと』
母は顔を上げた。
『あなた?なぜ
そのこと、知っているの?』