1月末。
羽田空港。
ハルキは昨年暮れに新しい仕事の準備と住居探し、トオルの入学手続きのためにSeoulに発っていた。
キョーコは住居兼店舗をそのまま知り合いに売り渡した後、
諸々の片付けが済むまでに手間取り、今日やっと
トオルと2人で韓国に向かおうとしている。
『トオル、お前がいないと寂しいよ』
背の高い無精髭の男がトオルの手を握った。
『先生、遊びに来てよ』
『もちろん、行くよ』
トオルは本屋に興味を移し、走っていった。
黒田医師が、旅立つ2人を見送りに来てくれた。
『向こうでは3月が新学期だったよな。
知らない国で、新しい学校で馴染めるのか?』
『大丈夫よ。トオルの仲が良かった同級生がたくさん行く学校に通えるのよ。
志燮が手配してくれたの』
『志燮か。。。
アイツはこれからその名前で生きていくんだな』
『うん。ホントの名前でね』
『最後まで俺の出番は無かったな』
『ごめんね。先生には本当に感謝してる』
『感謝なんか要らない。最後に抱きしめてくれ』
最後に登場。黒田医師モデル。