ある日の午後、
自宅のリビングで音楽を聴いていた
響子はスマートフォンの
着信音に気付く。
『はい。
あら、
お久しぶりです。
アメリカから帰っていらしたんですね。
ええ、もちろん元気にしていますよ。
特に変わりなく暮らしてます。
大丈夫ですよ。
心配しなくても(笑)
そうですね。
解りました。
おっしゃる通りにします。
今回、
こちら(日本)には
どれくらい?
わかりました。
では、向こうに戻られる前に
一度お食事でも。
はい、ではまた』
廊下に出た響子は
個室のドアを叩きながらドアを開けた。
『カイ? 起きてる?』
部屋の中を覗き込んだ。
『ぅぃ…
今…起きた…』
『仕事よ』
『バイトは今日は休みだよ』
『もうバイトには行かなくていいわ。
あなたは今から、
しなければいけないことがあるの』
『しなければ…って?』
『今から歌を作りなさい。
20曲よ?
期限は1週間。
いままで作ったものはダメ』
『2‥20?‥‥20!』