そらたちが作っている
新商品のモニター調査を
外部に依頼して、
その全ての回答が得られたのが
今日の昼過ぎだった。

そらは
休暇中の頭の中に
仕事のことを1ミリも残したくなくて
一人で必死に
返ってきたデータをまとめている最中だ。

(お腹空いたぁ💧まだ半分も残ってる。
 帰りたい。。)
いま、
一人残ってくれている後輩に
晩ごはんの買い出しを頼んでいる。

一息ついて
スマホの待ち受けの、
現在付き合っている彼の笑顔を眺める。
(がんばるから、待っててね❤)


『そら先輩、なにニヤついてるんですか?』
慌てて振り返ると、後輩がスマホ画面を覗きこんでいる。

『ああ、新しい彼ですね』
そらは慌てて
スマホをファイルの下に潜りこませた。


『癒され中に邪魔しないでくれる?』

『せっかくごはん買ってきてあげたのに、 
 いらないんですね??』

『あーーーっ。
 いただきますいただきます』

後輩の潤が買ってきたコンビニのおにぎりと
おでんをパクつく。

コピー機が出来上がったデータを印刷している。

その音がフロアの中で響く。

『前、先輩んちに資料を取りにいったとき、
 その彼、先輩んちにいたでしょ?』


『え?』

『男物の靴、脱いであったじゃないですか』

『さすが。。。するどい。
 あの日、下まで降りて
 渡す(資料)つもりだったのに、
 潤が勝手に玄関まで来たから、
 彼にいろいろ詮索されそうになって焦ったわ』


『バレませんでした?僕たちの関係』

『バレるもなにも、その頃はすでに何も無かったじゃない(笑)』

『元カレにフラれて、ボロボロになっている
 先輩を救ったのは僕ですよ』

『解ってるわよ。感謝してる』

『また寂しくなったら、
 いつでも僕が慰めますから』

『ありがと。でも、もう大丈夫よ』

『待ってても無駄ですか?』

『うん』

『わかりました。
 じゃあ、見守ることにします』


少し前まで
そらにとって後輩以上の存在だった潤。
大きな目を線のように細くして笑うのは
その頃から変わらない。



(こんなことなら、5分かからず出来るのに
なぜ年賀状は書けないんだろう。。)