3月30日(土) 横浜みなとみらいホール

指揮者:小林研一郎

モーツアルト:ヴァイオリン協奏曲第5番<トルコ風>

 ソリスト:神尾真由子

ソリストアンコール パガニーニ:24のカプリースから第5番

(休憩)

サンサーンス:交響曲第3番<オルガン付き>

 パイプオルガン:石丸由佳

オーケストラアンコール

 ダニーボーイ

 サンサーンス交響曲第3番第4楽章終曲部

 

こんなこともあるんだ。だから、定期演奏会は止められない。

2曲とも、ワタクシにとってはそう馴染みのある曲ではなかった。

けど、最終的には、大感動、感激の涙、大拍手。

演奏会が終わって、どうしてこんなことが起きるんだろうかと、しばし呆然と考え込む。

 

第1曲のモーツアルトは、いかにもモーツアルトという曲で、小編成の協奏曲。

ソリストの神尾真由子さんは、1986年生まれ37歳、赤い模様が着いた、地色が肌色にも見えるロングドレスで、一瞬透け透けかと思うほどの、素敵なドレス。

弾く音は、繊細で優雅。ストラディバリらしいが、良い音だ。技術的にも優れる。

アンコールの曲は、超絶的な技巧が要求されるが、見事に弾ききる。

 

ここまででも、想定外の演奏会になっていた。良い感じ。

 

休憩後の第2曲も、ワタクシはあまり聴き慣れないんで、YouTubeで鑑賞してきたけど、そんな良い曲だとは思わなかったので、期待も薄かった。

ところが、始まりの静かな音から、おや、なんだか良さそうじゃないの。

オルガン付きとあったので、パイプオルガンの演奏があることは当然であるが、YouTubeではここまで聞き取れなかった。最初から、低音で、伴奏風にパイプオルガンが鳴るではないか。これは、演奏会じゃないと聞き取れないだろう。

 

後半に入り、パイプオルガンが、大音量で響き出す。シンバルが的確。他の楽器も、みな、響き渡って、荘厳壮麗な風。

見所、じゃない、客席も段々と緊張感が生まれて、身を乗り出すよう。と共に、演奏者の方も、我も我もと渾身の演奏。

それらが1つにまとまって、ワタクシは、つい落涙。感激してしまっているんだ。

こんなクラシックコンサートは久しぶりだ。

想定外だった。

 

演奏者と観客が一体となる感じ。

それを紡ぎ出したのは、やはり、指揮者のコバケンこと小林研一郎だろう。

そこに指揮者の技量、実力があると思うのだ。

あれだけしっかりとした楽譜がある西洋音楽でも、指揮者によって、指揮ぶりによって、こんなに変わってしまうのだな。

 

アンコールはいつものダニーボーイ。静かな曲でお得意。

更に更にサンサーンスの交響曲3番の終曲部を、もう一度。

コバケン解説によると、俺たちにも弾かせろ、吹かせろ、演奏させろという熱意からだとか。演奏し足り無い雰囲気。

これ解るなあ、良くできたときは、もっと演奏し続けたくなるのでしょう。

聴衆も、まだまだ聴き続けたいということ。

 

まったく想定外の、素晴らしき演奏会でした。

これだから、定期演奏会は止められないのだ。事前には何が起こるか解らない、想像できない。

たまに、こんな演奏会が実現してしまうのです。

良かった~。