2月29日(木) 国立能楽堂
狂言 『内沙汰』 (和泉流 野村万作の会)
シテ(右近)石田幸雄 アド(妻)野村萬斎
(休憩)
能 『小督』 (金剛流)
シテ(源仲国)廣田幸稔 ツレ(小督)廣田泰能 ワキ(臣下)髙井松男
アイ(女)深田博治
笛:成田寛人 小鼓:古賀裕己 大鼓:守家由訓 地頭:種田道一
面:シテは直面 ツレ「小面」
狂言『内沙汰』。初めてかと思ったら、同じ曲が『右近左近(おこさこ』という曲名で大蔵流にあって、そちらは2019年9月に茂山千五郎家で観ていた。
大蔵流は、右近とその妻が出演者で、左近の話題になるのだからその題名で納得。
和泉流は、地頭に訴訟に行くと息巻いた気の弱い右近が、内々に、気の強い妻と練習するという点に着目して、内々に、沙汰(訴訟)の練習を右近と妻が行う点に着目した曲名。両方とも納得。
内容は、例によって気の強い妻が、気の弱い夫(右近)を励まそうとして、却って右近が気まで失ってしまうというモノで、しかも、実はその妻は、左近と情を通じていたのだったという、悲劇。単なるワワシイ女ではなかったのが、何だか見終わって釈然としない。愉快なモノではない。
萬斎が出演するから期待したが、よく聞こえないこともあって、寝てしまった。聴力が落ちているのかも。
能『小督』。題名は聞いたことはあったが、能としては初めて。能ドットコムにはあるモノの、対訳本や謡曲集には載っておらず、予習不足。
高倉院の寵愛を受けていた小督の局は、中宮(正妻)の父親があの平清盛であって、外戚として権力を振るいたい清盛を畏れて、身を隠してしまう。まさか子をなすことは出来ないのだろう。
悲しんだ高倉院は、ツレ小督が嵯峨野にいると聞き及び、シテ源仲国に命じて、所在確認をさせ、手紙を届けさせようとする。
ここで、院は馬を与え、シテ仲国はそれに乗って、嵯峨野まで駆ける。ここが「駒の段」。
片折り戸と琴の音を便りにやっと探し当て、拒絶するツレ小督を説得して、面会を果たし、院の手紙を渡す。
そこで、喜びの「男舞」。返書を受け取って、再び駒に乗って、帰る。
平家物語。
シテが小督ではなくて、仲国であるということは、きっと、駒に乗る所作というか衣装というか、を極めたいのだろうし、そこに注目すれば、面白い曲なのでしょう。
行きと帰り。帰りは、詞章で言うと「袖打ち合わせ」とだけなのだけど、舞台上で袖の紐を伸ばして、両袖を縛って、首に掛ける。駒に乗るときに袖が邪魔にならないように。腕まくりするような。
帰る前に「男舞」を舞う。さすが、舞金剛。
シテの廣田幸稔さん、1957年生まれでベテランではあり、確りしていたが、やはり聞こえが悪い。
やはりシテは仲国なのですね。直面。銀髪が美しかった。