12月27日(水) 横浜能楽堂第2舞台

午後1時40分開始、終了は午後8時。

素謡、仕舞、連吟など、様々あったが、紀彰師の仕舞と紀彩の会出演分とだけ記します。

 

仕舞 『卒塔婆小町』 梅若紀彰

連吟

 『松風』 T女史、O女史

   「恋草の。露の思いも乱れつつ。」から物着の前「せんかた涙に伏し沈むことぞ、悲しき」まで。

 『松風』 F氏(シテ)、O氏(ツレ)、ワタクシ(地頭)

   真ノ一声「汐汲車。わずかなる。」から、サシ、下歌、上歌、サシ前の「朽ちまさりゆく袂かな。」まで。

仕舞

 『東北』キリ T女史

 『夕顔』キリ ワタクシ

 『枕ノ段』 O氏

 『山姥』キリ F氏

 『船弁慶』キリ O女史

付祝言 『千秋楽』 仕舞の地謡プロと全員で。

 

紀彩の会メンバーの出演は、午後7時頃からになってしまって、大分帰った方も居て、気楽と言えば気楽。残念と言えば残念。

 

ゲストの出演メンバーは、私服での参加もあったけど、紀彩の会の5名は、皆さん、女史は綺麗なお着物に袴、男子も着物袴。ワタクシは、ここでしか着られない色紋付きに袴。

力のいれ具合が違うのだ。

梅栄会は、紀彰師主催の会だけど、しばらく開催できないでいた。いよいよ、横浜能楽堂が補修工事の為に2年半も閉館になる直前に、最後の舞台なのだ。しかも、この第2舞台は、紀彩の会の主稽古場で親しみがあって、思い入れもあるので、これでお別れという稽古会なのでした。

どうしたって、気持ちが入る。

 

当初予定では、連吟と仕舞の間に、ゲストによる素謡『山姥』が入っていたのだけど、都合により、当日、時間が迫ってから、連吟と素謡の順番が入れ替わり、連吟後にすぐに仕舞になってしまい、取り分けワタクシは、連吟『松風』の後、すぐ2番目で仕舞『夕顔』の順になってしまって、心の準備が整わぬまま、あれよあれよという間に、過ぎていく。

 

女史の『松風』連吟は、怨みや愛情と情感たっぷりの箇所なのに、お二人ともさっぱりした性格の方で、捨てていったオトコなんてこっちからおさらば、というご性格なので、そういう『松風』になっていた。

それで良いのだ。

男性の『松風』連吟は、一番好きな箇所。もともと『松風』は難しい謡で、節も、気持ちもたっぷり謡うのだ。

シテ役とツレ役は、お上手なのです。ワタクシは、地頭で、下げ歌の”中音カエテ”が巧く出ずに、苦労した。次の上げ歌でも、上音がつい高めになってしまう。

でも、気持ちよく謡えたので、良しとする。

 

仕舞。

トップのT女史『東北』キリ。いつもお稽古3回目くらいで見違えるように上達する。今回も、最終お稽古のママ、素敵に舞う。お着物は、どうしても『東北』に着たかったという梅模様の綺麗なモノ。

 

ワタクシの『夕顔』は、どうだったんでしょう。紀彩の会のお仕舞いから、地謡が5名になって、ド迫力になった上、中心点が迷ってしまって、少しズレる。正面を向いてみると、ややズレていて、それに焦ってしまって、自己分析では、バタバタした感じ。

 

O氏の『枕ノ段』、葵上を示す小袖の前で舞う六条御息所。怨念の表れが、今までで最高の出来で、葵上を見渡す箇所など、ゾクッとするほど。

 

F氏の『山姥』、実際のお稽古は2回だけで仕上げたのに、凄い。もともとお上手な方なのだけど、紀彰師のお手本動画を繰り返し繰り返し見て、自主お稽古していたらしい。

直前に、素謡『山姥』があったので、ムードの盛り上げにもなった。

 

トリはO女史の『船弁慶』。薙刀を振り回す、修羅能。

お稽古でも、なかなか薙刀扱いがうまく行かず、そこが出来ないと、道順や型も自信が持てない。

ところが、2日前のお稽古で30分の特訓を受けて、あらまあビックリ、見違えるとはこのこと。わずか30分の中で、みるみる上達していく。

出だしのシテ謡「アーラめずらしや、如何に義経」が、迫力に満ちてくる。

お着物は、かなりの年代物で、日本のお着物は、歳を経ても着られるし、見劣りしないのだ。

薙刀は、自宅では扱えないから自主稽古も困難のハズ。それが、2日前の最終お稽古で、大逆転。

トリに選んだ紀彰師の慧眼に違いない。

お稽古で苦労していた姿を見ているだけに、この日の出来には感動モノで、ウルウルしてしまう。

 

そして、大トリは、付祝言。事前に紀彰師から一緒に謡っても良いよ、と言われていたので、その気になって、気持ち的には大合唱で、気持ちよく「千秋楽」。紀彩の会は全員謡っていました。

これで第2舞台ともしばらくお別れ。その気持ちも含めての「千秋楽」。

 

2023年の能楽も、これでお終い。

来年は、1月6日の梅若新春能から。