9月11日(月) 横浜にぎわい座
開口一番 立川志ら門 『やかん』
三三 『浮世床』~将棋の遊び
橘家圓十郎 『お菊の皿』
(仲入)
三三 『寝床』
8月はなんだかんだで落語会行かなかったので、久しぶり。
今月9月もこれきり。10月も予約なし。なんだかんだで。終演が9時で、帰りが遅くなってしまい、疲労するのも原因の一つ。昔は、そんな時間になってもなんでもなかったのにね。
幕が上がって、開口一番のサゲ札の名前にビックリ。何で立川流がここに?
談志も亡くなり、円楽もなくなり、落語の流派は、東京の寄席に出られるかどうかだけになったんだね。今更、協会や芸協に統一できないし。
話は「やかん」。駄洒落話が飛び交うだけ。その落語家の感性と、持ち時間に応じて、臨機応変に。志ら門、まあまあだけど。
三三の登場。『浮世床』から、将棋の遊びの部分を。うん、上手だ。開口一番二つ目の次だし、まだ後が控えているから、サラリめで。
ゲストの橘家圓十郎。初お目見え。三三より先輩という。太っている。いや、デブ。デブを売り物にしている。
『お菊の皿』をしゃべる。話題を面白くしようと様々改変するが、空回り。面白くない。落語自体が下手なのじゃないか。
これでも真打ちとなることが出来て、それなりに喰っていけるように、協会は仕事の世話をするのでしょうね。
出が、遅れたが、その理由は、三三が帯を忘れたため、圓十郎の帯を借り、三三の『浮世床』が終わった後、圓十郎に返すのだけど、圓十郎はデブで、三三は痩せだから、帯の長さが違って、大変だったから、と。
仲入後は、ネタ出しの『品川心中』のはずが、『寝床』を喋ってしまう。
マクラから義太夫の話なぞして、どうやって『品川心中』に持っていくか、と思っていたら、そのまま『寝床』。
楽屋でも同じく、どうすんだ、見モノだ等と喋っていたらしいが、『寝床』を最後まで。
終わった後、圓十郎が普段着ででてきて、チラシを三三に見せて、『品川心中』のネタ出しだよ、と三三にもお客にも話す。
三三自身は、ハナから『寝床』のつもりだったらしく、間違えたことに大変なショックを受けていたようだった。平謝りだったが、こちとらは、あれ、『寝床』じゃん、と思っただけなので、ご心配なく。
その『寝床』、素晴らしく面白いのでした。ここで圓十郎と比較して申し訳ないけど、三三は、少しのくすぐりは入れるモノの、話題や言葉は正しく古典。それで、何度も聴いているはずの客席を大爆笑させる。
ワタクシも、大きな声で笑う。それに自分で気が付いて、あら恥ずかしや、という程度の笑い。珍しいのです。
どうしてこんなに違うのだろうか。間、か。表情、か。口調、か。
とにかく違う。圓十郎はこれ以上伸びそうもないが、三三は、名人に達する能力がある。圓十郎は人が良いから、落語家仲間には受けが良いとしても、芸が出来なくてはどうしようもないでしょ。
柳家小さん、小三治を引き継いで、古典で、落語会を引っ張っていく能力があるし、華もある。
三三はえらくショックを受けたような感じに見えたが、まあそんなこともあるさ、と鷹揚にしてください。談志も、話の途中から別の話になっちゃったという逸話がある。
真面目な三三は、失敗を深く感じてしまう。こちとらファンは、へえ、面白いことだなあ、滅多に体験できることでは無いワイ、と楽しんでいますよ。
勿論ネタ出しで、2ヶ月も前からチケットを売っているのだから、あってはならない失敗だけど、回復可能だから、回復して貰わねばならないから、そこそこで。大丈夫ですよ。
現在、チケット代が損にならない噺家は、柳家さん喬、新しく人間国宝になった五街道雲助、柳家権太楼、立川志の輔、立川談春、立川志らく(時々かな)、柳家三三、若手では春風亭一之輔(これも時によるか)が思いつくが。私的感想。
喬太郎も面白い。彼はいつだったかどこかで、「まともな落語を聞きたいならば、三三に行けよ」と自虐的に言っていたなあ。