6月11日(日) 横浜能楽堂
狂言組 (大藏流 茂山千五郎家)
お話 茂山茂
『延命袋』
シテ(夫)茂山千五郎 アド(太郎冠者)井口竜也 アド(女房)茂山宗彦
(休憩)
『狐塚』・小唄入
シテ(太郎冠者)茂山茂 シテ(次郎冠者)茂山千之丞 アド(主人)井口竜也
梅雨入りして、体調がすぐれず。
茂山茂のお話は、流れるよう。芸人みたい。慣れているね。
『延命袋』。茂山千五郎家だけ『延命袋』。大藏流の他家や和泉流では『引っ括り』。一度廃曲にしたのを復曲した関係で、名称を変更したのだとか。憚って。
たまたま実家に帰っていた超ワワシイ女房に離縁状を渡すと、乗り込んできて、離縁の印に何か寄越せ、と。大きな袋を持ってきて、夫を包んで持って行ってしまうのだから、なんじゃこりゃ、のお話。
茂山あきらが体調不良により、千五郎に交替。今度は、キチンとアナウンスと掲示あり。そうでしょ。
『狐塚』。豊作になった主人の畑を鳥や動物から守るために、鳴子をならして追い払う太郎と次郎冠者。その田の場所が、狐が出るというので狐塚、という。狐に騙されるかも、という伏線。
労うために酒を持って夜現れた主人を、狐と信じて、酒を飲まず、追い払おうとする。
この漆黒の闇の中を現す演技も、良くわかる。
鳥を追っているときに、小唄が入るのが小書き。大藏流だけらしい。狂言方の謡も上手。賑やか、華やかになる。
総じて、茂山千五郎家は、芸風が面白くすることにあるようだけど、しっかりと古典の基本が出来ていて、踏み外さないから宜しい。
東次郎家の、武士ふうの芸風とは違うけど、これはこれで、素晴らしい。
但し、今回は、千五郎家でも役者が揃っているからだと思う。前日の、国立能楽堂の『惣八』とは違う。
皆々、声が大きくて、はっきりしていて、聞こえやすいのも、良い。