6月8日(木) 横浜にぎわい座

開口一番前座 春風亭いっ休 『金名竹』

一朝 『蛙茶番』

一之輔 『肝つぶし』

(仲入)

一之輔 『モグラ泥』

一朝 『船徳』

 

前座のいっ休、『金名竹』、関西弁の早口を理解できないお話。どれだけ早口で関西弁の口上をしゃべれるか、の噺だけど、なかなか巧くなったんじゃ無いかな。客席から、前座なのに拍手が出るくらい。成長したね。

 

一朝が、「一朝懸命やります」とのいつもの挨拶を忘れずに、話し出したのは、『蛙茶番』。

縮緬の自慢の褌を締めて、お光ちゃんに釣られて、店の素人芝居で舞台番をする。尻っ端折りをして、ググッと睨む役だけど、湯屋に行って飛び出てきたから、肝心の褌を締め忘れて、つまり、下半身丸出しという、ややお子様には聴かせられないような噺。

江戸情緒たっぷりの噺をする一朝が、大きな声を出したりして、笑わす。

この人は、こういう噺も喋ることが出来る。

 

一之輔の中トリ『肝つぶし』。前半と後半であまり繋がらない噺。前半は、恋煩いをした弟分に訳を聞くが、すべて、夢の中だったってこと。夢の中の恋、と恋煩い。

後半は、夢の中の恋煩いは、特別の薬が必要と。それは、亥の年、亥の月、亥の日、亥の刻に生まれた人の、生き肝を食すと。

亥ってのは干支の猪ですね。

たまたま本当の妹がその条件に当たることがわかる。世話になった義理のオヤジの子である弟分を助けるために、実の妹を殺そうとするが、寝ていた妹に出刃包丁を振り上げたところで、気付かれてしまう。芝居の練習と言い訳するが、妹はビックリして肝を潰したよ、じゃあもう役に立たねえな、が落ち。

何ばなしって言うんだか、人情噺?あまり意味が解らない噺だ。でも、面白ければ良い。

一之輔は、喋るかなと思っていた笑点の話はまったくせず、キチンと。受け狙いはしないのだ。

 

仲入後は一之輔『もぐら泥』。初めて聞く噺。敷居の下を掘って、家屋内の掛けがねを外して侵入しようという泥棒。中にいる親方に見つかってしまって、腕だけ縛り上げられる。戸板を通して、あっちの親方とこっちの泥棒の功妙珍妙な遣り取りがおかしい。そこに通りかかったモノに、助けて貰おうとする泥棒だが、却って財布の中の5円を取られてしまう。こちらの遣り取りもおかしい。

一之輔、上手に役を別けていて、身振りを含めて、笑えた。

 

トリは一朝『船徳』。若旦那が船頭になりたくて、失敗する噺。

こちらは、江戸情緒を感じられるような、話しっぷりで、さすがに一朝。

 

芸ではやはり一朝が上手か。一之輔の方が面白い。人気は一之輔。師匠と弟子なのに、一之輔に声をかけるのは如何かな。

 

にぎわい座、珍しく完売で、満員。楽しかった。

台風が近づいて、帰りは雨。