5月27日(土) 国立能楽堂

解説(英語) 茂山千之丞

狂言 『二人袴』 (大藏流 茂山家)

 シテ(聟)茂山茂 アド(舅)丸石やすし アド(太郎冠者)茂山宗彦

 アド(親)茂山あきら

(休憩)

能 『邯鄲』 (観世流 梅若会 九皐会)

 シテ(盧生)山崎正道 子方(舞童)安藤継之介 ワキ(勅使)工藤和哉

 アイ(宿の女主人)茂山逸平

 笛:栗林祐輔 小鼓:田邊恭資 大鼓:河村眞之介 太鼓:梶谷英樹 

 地頭:馬野正基(←梅若楼雪から交替)

 面:シテ「邯鄲」

 

PCの調子は、翌日には、手伝って貰って復旧。

だが,月~金まで、5日間も、家から一歩も外出せず、しかも1日の殆ど、22時間以上を自室で過ごしていると、イライラ、鬱々、悶々が募ってきて、心の病が復活しそう。悪い方ばかりに考える。何もやる気がしない。

でも、えいや、っと出かけるのだ。

今回は、外国人のための能楽鑑賞教室で、ワタシなどは行かない方が良いのかもしれないけど、チケットを買っておいて良かった。気分を、あげなければならぬ。

 

解説の茂山千之丞さん。英語がお上手で、用意してきたペーパー、これが手元で和訳になるのだけれど、それを越えて英語でおしゃべりして、発音も良いし、外国人向けで解りやすい。新しい発見も。

これは、外国人のための企画ではありながら、能楽中毒のワタクシにも為になった。

 

この辺から気分が少々上昇。

 

狂言『二人袴』。もう何度もで、わかりやすい演目だし。しかも、常よりはコントっぽく大げさな振りも入れて、演出されていた。アド聟が未成熟大人の感じ。

でも、鍛えられた演技、型は生かされている。

外国人向けに、良かったのではないか。

 

能『邯鄲』。2度目だけど、良く解る。前回は銕之丞先生シテで、良かった記憶。2020年12月。

事前のチラシでは、地頭が梅若楼雪であったが、本日の張り紙で、「都合により」交替だと。人間国宝梅若楼雪の地頭は楽しみだった。シテの山崎さんが梅若会なので、梅若の『邯鄲』になるだろうという期待もあった。

楼雪師は、5月21日(日)の梅若会定式能の地頭も、『風邪のため』紀彰師に交替した。今回も交替だが、紀彰師にではなくて、元々の副地頭に交替。

楼雪師、足腰だけではなくして、様々具合が悪いのだろうか。

 

狂言とは違って、能『邯鄲』は、外国人向けの特別演出ということはなくして、基本通り。伝統に従って。

だがこの演目は、人生観を伝えるもので、外国人向けには相応しいとも言える曲。選曲は良かったんではないか。

 

山崎正道さんのシテは、謡も舞も確りしていて、問題なし。

子方舞童の舞に引かれて、一畳台の上で舞い始め、空降りして、実際に降りて、力強く、歓喜に満ちて、舞う。序破急。

最後、邯鄲の枕に飛び込むシーン。確か銕之丞先生はホントに飛び込んでいたけど、今回山崎さんは飛び込まず。急いで入っただけ。

 

人生は、一睡の間、一炊の間のこと。

何だか、こんな状態の時に少し元気を貰って。

 

帰りに、地元近くで古くからあるらしい鰻屋を発見し、チビチビと燗酒を飲み、鰻重を食らう。食事量も、飲酒量も減ってしまって、我ながら「う~む」だけど、適応していかねばならぬ。

老いを実感する。高等遊民のあり方も、再考せねばならぬか。