5月14日(日) 横浜能楽堂

狂言組 和泉流 野村万蔵家

お話 河野佑紀

『二人大名』

 シテ(大名・太刀を持つ方)野村拳之介 アド(大名)野村眞之介

 小アド(通りの者)野村万之丞

(休憩)

『鈍太郎』・萬之古式

 シテ(鈍太郎)野村万蔵 アド(下京の女房)石井康太 小アド(上京の愛人)河野佑紀

 

横浜狂言堂、狂言の普及に大分役だったと思う。が、横浜能楽堂の改修に伴って年内で打切だと思う。その後の「復活」は不明。飽きてきたこともあるけど、前回の東次郎家に次いで、今回は万蔵家なので観てみようと。来月も茂山千五郎家なので観る予定。

 

お話の河野さん、10年目だとかで、まだまだ若手。野村万蔵家も狂言の普及と並んで、若手の育成を目的とするか。

軽快な話しぶり。

 

『二人大名』、もう何度も。今回は、万蔵の3人の息子たちのそろい踏みか。健之助、眞之介はホントにまだダメ。一応観られるのは万之丞。

3兄弟の入門編の趣。

 

『鈍太郎』、初めてです。

鈍太郎は、上士ではないが、侍かな。袴は着けないけど、腰のものを持つ。

それが西国に出かけて3年間、仕合わせをして、儲かったのかな、京に帰ってくる。歓迎されるはずだと、まず妻の宿に行くが、男が出来たという嘘で追い出される。こんなこともあろうと上京に、妾を持っていたが、こちらも追い出される。どうやら、妻とはあまり仲が良くないらしいが、子どももいることだし離婚も出来ず、妾を持っていたのであろう。その程度の財力はあった。

気落ちしてしまい出家しようと、元結を切り、小刀を捨てる。

実は、妻も妾も男はおらず、ホンモノの鈍太郎と気づき、出家を思いとどまらせようとする。二人は顔見知りなのだ。

通りかかった僧行の鈍太郎に会い、なんとか出家を思いとどまらせようと。この辺り、好きもあるけど、生活がかかっているのかな。

色々、難題も出しつつ、鈍太郎は戻ることとするが、それでも妻には辛く当たり、妾が宜しい。

最後は、「萬之古式」小書きで、手車から鈍太郎を追い落とし、二人で力を合わせて行きましょう、とどんでん返し。

どうやら小書き無しは、最後までどんでん返しはなくして、鈍太郎の我が儘に従うというものらしい。それを万蔵が令和4年に小書きを作り、どんでん返しをして、女性の地位向上に反しないように。

 

確かに、そのままだと演じにくいから、あまり公演のチャンスはなかったのかと思う。

2020年4月の萬狂言・春公演で、この小書き付きになった。そのYouTubeがある。配役は同じ。2022年かな。

この小書きを公開すれば、公演頻度が上がるかも。

 

横浜能楽堂2階ギャラリーでは、「蘇る江戸の美意識ー『大原御幸』の能装束ー」という特別展を、5月3日(水)から7月17日(月)まで開催している。

4月30日(日)の「この人この1曲」シリーズ第1回目の『大原御幸』で用いられた能装束を展示するもの。江戸時代の装束の復元らしい。

その時のブログにも書いてあるが、見所からはよく見えなかったものが、出品展示されているというわけ。

なかなか見応えがある。面も江戸初期のものが3点。

何か公演があるとき以外は、無料で見られるから、チト遠いけど、紅葉坂を登るのは辛いけど、一見の価値はある。