5月10日(水) 国立能楽堂
狂言 『佐渡狐』 (和泉流 野村万作の会)
シテ(奏者)野村万作 アド(越後の百姓)高野和憲 小アド(佐渡の百姓)深田博治
(休憩)
能 『賀茂』・素働 (観世流 観世会)
間狂言『御田』 (和泉流 万作の会)
シテ(里女 別雷神)上田貴弘 前ツレ(里女)吉井基晴 後ツレ(天女)角幸二郎
ワキ(室明神の神職)舘田善博
オモアイ(神主)野村萬斎 立衆(早乙女)野村裕基、野村太一郎、外
笛:杉信太朗 小鼓:飯田清一 大鼓:亀井広忠 太鼓:林雄一郎 地頭:岡久広
面:前シテ「増」 後シテ「大飛出」 前ツレ・後ツレ「小面」
狂言『佐渡狐』、何度も。今回は賄賂を貰う奏者が万作師。
この万作師の動きが面白くて、賄賂(袖の下)を貰うときの顔つき、仕草は言うに及ばず、上手く狐の姿などを佐渡の百姓が答えられないときの落胆ぶり、そっと教えるさま、などなど、これまでの『佐渡狐』とちょっと違う印象。
万作師が上手なのかな。ワキで支える野村家ではないお二人、後見には石田さん、こういうお家ではない方々もしっかりとしていて、これは万作家の強みだなあ。
調度、来月佐渡の旅行に行く予定で、正法寺のろうそく能を観に行く、佐渡には親近感がある。
さて、佐渡には現在でも狐はいないのか。
能『賀茂』・素働は、3回目。間狂言の『御田』は2回目。独立した狂言曲としても観たことがある。
このオモアイが萬斎で、これをお目当てに見所も満員で、賑々しい。
能『賀茂』は、前場の語り続きが、もうひとつピリッとせず、眠くなる。前シテと前ツレが退場するときに、寝てはいかんと思っていたのに気を失い、間狂言の萬斎の登場に気付かない有様。
後場は、後ツレの天女ノ舞、続く、後シテの迫力と大音響の素働は凄いなあ。本来は舞働ではないのか。それが小書きで素働になって、より迫力が増して、賀茂神社の神徳が高まるという演出。
まあ迫力はありましたね。これは絶対に女流シテ方では務まらないな。声が弱いし、面を付けると更に弱くなって、弱々しくなってしまうからね。
なんてことを考えてばかりで、特に感動する舞ではない。
間狂言『御田』は、それこそ万作の会で、狂言に出演した方以外は総出演って感じ。美しい衣装を纏った早乙女たちが並ぶ。
今回は、狂言方に、能が付加した印象。そういう能会。