4月9日(日) 横浜能楽堂

狂言組 (大藏流 山本東次郎家)

『素襖落』

 シテ(太郎冠者)山本則重 アド(主)山本凜太郎 アド(伯父)山本則秀

(休憩)

『猿座頭』

 シテ(座頭)山本東次郎 アド(女)山本凜太郎 アド(猿引)山本則秀 アド(猿)山本則匡

お話 山本東次郎

小舞 『暁の明星』

 

東次郎家の狂言は、ホントに安心して観ていられる。何度も書くけど。

見所も満員、当日券無し。

 

『素襖落』、何度も。

今回は、シテ太郎冠者の着ていた法被に眼が行った。後で東次郎先生の解説にもあった。酒の道具の柄。眼に狂いはない。

シテ太郎冠者が、段々に酔っ払っていくさまが難しいが、さすがに上手。

アド主役は、当初発表時は山本則俊さんだったが、かなり前から凜太郎さんに交代というアナウンスがあった。最後の小舞の地謡にも出て来られなかったから、かなり体調不良とお見受けする。あの、力一杯の謡が好きだったんだが、致し方なし。

凜太郎さん、最早立派な一人前で。

今日は、2曲とも出演。

物語はご存じ。シテ太郎冠者が伊勢参りのお供をして、頂いた高価な素袍のお礼に土産を買ってくると言うが、買ってくる相手が変わってきてしまう。去年12月に観たときは、2度目も相手が同じになってしまっていて、アレッと思ったけど、間違えた方が良いよね。酔っ払ってくるんだから。

 

『猿座頭』初めて。東次郎家でも60年ぶりとか。前回、60年前は、東次郎さんはアド女役だったとか。

眼の見えない座頭(勾当)が、何かの見物に行く話は、『月見座頭』もあって、そちらは問題なしの名曲だけど、本曲は、なんともはや、と言う内容。最後は、座頭(勾当)が虐められるのは同じだけど。

たまたま会った人物に虐げられるのは同じとして、本曲は、妻が裏切って、ナンパしたアド猿引について行ってしまい、それが成功する。置き去りにされたのは、シテ座頭と、アド小猿。可哀想。妻と猿引=主に捨てられる。

アド小猿の則匡ちゃん。可愛い。『靭猿』で観たよね。あの面と着ぐるみは苦しいと思うけど。

物語が悲惨なだけに、小猿の可愛さが一服の清涼剤。

 

その『月見座頭』は、10月の狂言堂。シテ東次郎。絶対観なくちゃ。

 

お話の後、東次郎さんの小舞。練習曲だとか。しかし、あのお歳で、あの膝で、スッと立ち上がったりするのは、驚嘆以外の何ものでも無い。素晴らしいを越える。

ブレまくりの我が舞いが恥ずかしい。