3月25日(土) 神奈川県立音楽堂
開口一番 柳亭市寿 『ぞろぞろ』
春風亭一之輔 『まんじゅうこわい』
柳家喬太郎 『ウルトラ仲蔵』
(仲入)
喬太郎 『同棲したい』
一之輔 『意地くらべ』
寒い雨の一日。金沢から娘と孫が春休み初日で来ているのに、ワタクシは落語。だって、ずっと前から買ってあるんだもん。勿論一之輔が笑点メンバーに選ばれるより、ずっと前。
明らかに笑点効果で、900名定員という県立音楽堂は、ほぼ満席。今までこんなことはなかった。
ということで、客席は一之輔への期待が高まるが、そこは「はまらくご」。割とコアな落語ファンが多い落語会なので、喬太郎ファンも多い。
木戸銭、高いけどね・・
開口一番は、二つ目市寿の『ぞろぞろ』。
稲荷さまの御利益で、無いはずの草鞋がぞろぞろと出てくる、という滑稽噺。
この前も誰かの前座で聴いたな。なんだか、開口一番には流行があるみたい。『鶴』ばかりのこともあったなあ。
まあ、二つ目といっても、このお二人の前ではまったくのカス。
一之輔登場で会場割れんばかりの大拍手。例の、めんどくせーなーっていう感じの出が、良い感じ。
笑点ネタでマクラを振るかと思ったが、寒くなった日の桜などについての、マクラ。おとなしく。
で『まんじゅうこわい』。普通のネタじゃん。普通以外あるかってんだけど。
一之輔は、饅頭の種類を各地の名物を折り込んで沢山出す。埼玉のナンチャラって饅頭。横浜のありあけのハーバー。って、これは饅頭じゃないでしょって。これでバカ受けするんだから、上手いよね。
相変わらず見台など用意した脚の悪い喬太郎。もう直らんね。このスタイルがずっと続くでしょう。
新作の『ウルトラ仲蔵』。「中村仲蔵」をベースに、登場人物をウルトラマン関係に変更し、バルタン星人との戦い、地球防衛に移し替えたモノ。
初めて聴いたかも。『中村仲蔵』という人情噺を、ウルトラマンに置き換える、ぶっ飛び話。ウルトラマンの人間関係を知った人ならば、もっと楽しめるだろうが。
仲入後は、引き続き喬太郎だけど、新作で話したから古典だろうという期待を見事に裏切って、『同棲したい』。新作2席連続かよ。まあ面白いから良いんだけど。
定年間際のオヤジ。やり残したことがあると、離婚を迫って、同じ妻と同棲し、木造の、裸電球のアパートで暮らす。神田川、同棲世代のお話。喬太郎より年上のはずだけど、ほぼ同世代のワタクシは、そうそう、あったあったという噺。
トリは一之輔。今度は笑点の話を少し振って。話し始めたのは、なかなか珍しい『意地くらべ』。聴いたことがあるとは思ったけど、あまり解らない。
要するに借金の話なのだけど、意気に感じて貸したり、返すのを受け通るの受け取らないの、という、意地と筋を通したい人々の無茶話。
理屈ぽくなってしまいそうな所、武器を出してきたり、取りなしの女将さんも怒ったり、とハチャメチャ。
上手いよね。さすが・・
今や一番人気の一之輔。廻りには、ずいぶん遠くから来たようなお客も。一之輔の出演落語会を探したのだろう。
半分困り、半分うれしいような。笑点の効果は凄いと再認識。わたしらは、前から一之輔が好きだったんです。