3月19日(日) 梅若能楽学院会館
能 『藤戸』
シテ(浦人の母 浦人の幽霊)山中迓晶 ワキ(佐々木盛綱)森常好 アイ(盛綱の下人)石田幸雄
笛:一噌隆之 小鼓:大倉源次郎 大鼓:大倉慶乃助 地頭:松山隆雄 副地頭:梅若紀彰
面:多分、前シテ「痩せ女」 後シテ「痩せ男」
狂言 『二人大名』 (和泉流 野村万作家)
シテ(通りの者)野村万作 アド(大名)飯田豪 小アド(大名)深田博治
仕舞 『嵐山』 梅若長左衛門
『西行桜』 角当行雄
『誓願寺』 会田昇
地頭:梅若紀彰
(休憩)
能 『百萬』・替之型
シテ(百萬)髙橋栄子 子方(百萬の子)角当美織 ワキ(男)大日方寛
アイ(門前ノ男)高野和憲
笛:成田寛人 小鼓:幸正昭 大鼓:國川純 太鼓:桜井均 地頭:梅若楼雪
通うと決めた梅若の定式能。今回も能2番で。
能『藤戸』3回目。前回は2021年9月、国立能楽堂の定例会、シテ友枝昭世。観世流は初めて。印象に残るお能なので、解説などはそのブログへ。
舞いは少なくて、仕方ばかりの、物語性の強いお能。
シテの山中迓晶さん、いつだったか最初に拝見したときより、ずっと堂々としていて、自信もできたのか、腕が震えることなく、良かったです。ワキに詰め寄るシーンなど、なかなか迫力があって。
また、後場で、二差し自分の脇を刺すシーンも、しっかりとしていた。こうやって殺されたのだ、と。
地頭は松山隆雄さんだったけど、並んで座る梅若紀彰師。良く声が聞こえました。ほとんど目をつむっていたように見えましたが。
狂言『二人大名』、4回目との記録。
この曲のシテは、「通りの者」なんだっけ。確かに、一番重要か。万作。
太刀を左に持つか、右に持つかの違い。解りやすいですよね。通りすがりのモノに、家来の如く、太刀を右に持たせるところが、癇に障ったのでしょう。善意で持ってあげたのに、家来扱いかよ。
シテ通りの者になぶり続けられる大名2人。みっともない。が、怖いから。でも、最後に、京で流行る起き上がり子法師のマネをさせられた辺りになると、彼の大名は楽しそうにも見えた。太刀だけでなく、腰のもの、小袖上下、すべて巻き上げられてしまう。徹底的に、形式的権威だけで、実際は世間知らずでみっともない大名。
仕舞3曲は、ベテランばかり。皆さん、ワタクシよりお年を召して入らして、それでもあれだけ舞えるのだから、腰が痛いの、脚が痛いのと言ってはいられないよね。
地謡頭の紀彰師。そうです。いつもこうして謡って頂いて、お稽古しているのです。
能『百萬』2回目。1回目は、2022年2月の式能2部で。なので、今回が研究してきた初回。
今回の印象は、謡が面白い曲だなあ、と。勿論、子どもを探して沢山舞を舞う曲なのだけど、その謡が楽しいのだ。
謡いどころでは、地頭の楼雪先生、目をつむり、身体をやや右に傾けて、楽しそうに謡う。こちらも一緒に謡いたくなる。
シテの髙橋栄子さん。あまり印象がない方でした。舞いも、上手だけど、華はない。シテ謡と地謡と、必ずしも音調が合わず、初同のときには、一瞬あれ、っと。
やはり、女流シテは難しいのだなあ。
替之型という小書き、意味の説明なかったけど、多分、親子の対面をした後、シテが、それまでの烏帽子直垂を脱ぐのが、それじゃないかな。女舞狂いから、母へ。解りやすい。