11月30日(水) 観世能楽堂(GINZA SIX)
舞囃子 『小袖曽我』 坂口貴信 谷本健吾
笛:竹市学 小鼓:鵜澤洋太郎 大鼓:原岡一之 地頭:観世喜正
一調 『雲林院』 梅若楼雪 大鼓:亀井忠雄
仕舞 『難波』 梅若長左衛門
『菊慈童』 梅若紀彰
地頭:谷本健吾・坂口貴信
(休憩)
能 『道成寺』・替装束 (観世流 梅若会)
シテ(白拍子 鬼女)川口晃平 ワキ(道成寺住僧)宝生欣哉
ワキツレ(従僧)三宅右近・三宅近成
笛:竹市学 小鼓:飯田清一 大鼓:亀井広忠 太鼓:林健一郎
地頭:梅若紀彰 主鐘後見:梅若楼雪
観世能楽堂は、ワタクシにとって敷居が高い。銀座はそもそも我が家から通いにくいし、銀座という雰囲気が合わない。能楽堂の側に食べ物などを販売するお店もあるのだが、高い。が、馴染みのある曲が多いし、師匠が仕舞とお能の地頭を務める。
更になんと言っても、楼雪先生が、お能の主鐘後見を務めるという。地位からして楼雪先生が最適任なのだけど、あの重い鐘を主に扱えるのか、当日交替になるのじゃないか、との疑念が拭えずに、参加することにした。
ここはチケットも高いのだ。正面のSS席は15000円。年金生活者としては最低の7000円席で、どうせならばと最後列にした。この最後列席は正解だった。後ろに気を遣う必要が無くして、やや伸びをしたり、身体を左右に動かしても、後ろの邪魔にはならぬ。
舞囃子『小袖曽我』。この前謡で習ったばかり。しかも、お稽古仲間が仕舞を舞っていたので、良く解る。
お二人のシテ方のどちらが五郎か、十郎か、チト解らなかった。が、きちっと相舞していた。
地頭の観世喜正さんは、声が高めだね。
一調『雲林院』は、この前ワタクシ自身が仕舞で舞った箇所で、勿論詞章はすべて頭に入っている。
あんなにゆったりと、優雅に謡うんだ。素人は早く舞いがちだなと反省。さすがの楼雪先生。聞き惚れる。
仕舞『菊慈童』は、現在習っている謡いだし、仕舞も習ったばかり。親近感がある。紀彰先生の『菊慈童』はお手本としては観ていたが、正装した仕舞としては初めて。きっちりと。素晴らしい。
さて、主目的の能『道成寺』。舞台を見たのは3回目だけど、DVDもあるし、ストーリーは解る。梅若会は初めてなので、梅若本を入手してきていて、予習は完璧。
主鐘後見の梅若楼雪先生も、椅子には座るが定位置で。足腰が悪いだけで、腕力はあるのだろう。ご自分の弟子だから、命を預かって主鐘後見は外せない。
ただ、物着の中入時に、一旦退場し、鐘を再びあげる辺りで再登場。違和感なし。
緊迫、魂魄の乱拍子。何度観てもよろしい。川口さんは、声も大きく聞きやすいし、動きも決まっている。
今回の、多分梅若会の乱拍子は、脇正辺りからあまり動かずに舞っていた。前回の代々木果迢会のはときは、舞台を何度も廻っていたような。
乱拍子から、急に急の舞に移る。その時、地謡や囃子も急変化。ぐぐっと盛り上がる。このときの地頭紀彰先生は、身体を前後に動かすように熱唱。思いっきりの声を出すか。力を込める。さすが。こういう謡の姿勢は初めて観た。良い声で、響くし。
シテ川口さんは、良き地謡にも支えられて舞いきった感じ。やりきったんじゃないですか。
観世能楽堂も、最後列ならばまた来ても良いかな、という好印象でした。久しぶりの充実した良い能会でした。