10月12日(水) 横浜にぎわい座

開口一番 前座 春風亭貫いち 『狸札』

春風亭一之輔 『ふぐ鍋』

春風亭一朝 『火焔太鼓』

(仲入)

一朝 『湯屋番』

一之輔 『鰍沢』

 

開口一番の前座は、狸の恩返しシリーズ、10円札に化ける。まあ、まあ。

この前座さんは、いつも自分が終わった後、めくりのときに客席を睨み付けて、静まっているかどうか確かめる。そう指導されているからか、クセなのか、やっていることは悪くはないが、何だかにらみ付けられている気がして、落ち着かない。

 

一之輔の『ふぐ鍋』。新さんまの話をマクラでして、『目黒のさんま』には入らないよと言い、シャインマスカットの話、で、寒暖差の話から、鍋の話へ。

ふぐ鍋を食べたいが、怖い。おこもさんにあげて確かめてから食べる二人。美味しい。

ここで一之輔は、おじやの作り方の話へ。好きなんだねえ。冷やご飯が良いとか、卵のかきかたとか、入れ方とか、30秒待つのだとか、最後にごま油を廻し入れると上手いのだとか。ここは、一之輔が鍋好きで、しかも、最後の〆おじやに力を入れていることが解って、観客の相当数が、ああ、鍋を食いたいと思ったはず。

先日も、誰の落語だったか、『そば清』で、全員蕎麦を食べたくなったはず。

 

仲入前は一朝の『火焔太鼓』、ネタだし。

一朝は、江戸の粋な話が良いのだけど、これは思いがけず300両で売れた火焔太鼓、その金子を受け取る様が面白い。江戸の粋風ではないけど、まあ、面白いです。

 

仲入後は、一朝が。「さっき話し忘れたのですが・・」というと、満場大拍手。そう、例の「いっちょう懸命やらせて頂きます」の決まり文句が、さっきは出なかった。で、その言葉。又々大拍手。

仕方ない。客は求めているのだから。

『湯屋番』も、江戸の粋とは関係なさそうだが、番台に上がった居候の若旦那の仕草を可笑しく語る。まあ、その中の、芸者ととのやりとりが粋か。

 

トリは一之輔『鰍沢』。ネタだし。照明をやや暗くして、これは怪談話だからね。

無理に笑わなくても良いですよ、と言いつつ、話す。

こういう話も一之輔はできるんだと。山小屋から逃げ出すシーンとか、崖から落ちるシーン、鉄砲で撃たれるシーン、だんだんっと床を叩く音が大きい。

爆笑系ではないから、そういう意味では落胆だけど、実験的には成功しているのだな。

 

一之輔は、ホール落語は良く聞くけど、寄席小屋では少ない。面白いと思います。