10月6日(木) 横浜にぎわい座
開口一番 二つ目 柳亭市童 『高砂や』
柔 『粗忽の釘』
ゲスト 歌謡漫談 タブレット純
(仲入)
剛 『三味線栗毛』
毎月の三三独演会。寒い寒い。午前中に病院で、開場までの時間は、喫茶店で4時間、コーヒー1杯で粘って読書。これが面白い本で、また、ブログに書く。
開口一番二つ目は、市馬の弟子。歌がうまいことで市馬に気に入られる。
ということで、結婚式の仲人を頼まれた長屋モノが、祝儀で、横町のご隠居に急遽教えてもらった「高砂や~」を謡うという話。うまく行くはずがない失敗談。
確かに、高砂や、この浦舟に帆を揚げて~、と謡うが、高座の上で落語家が謡を謡うのは初めて見た。本当は上手いような感じだった。勿論、噺なので下手に。
初めて聞く噺。最近の噺家は、謡などは習わないのでしょうね。
『粗忽の釘』。聴き慣れた噺。引っ越しをして、箒を掛ける釘を隣に打ち込んでしまう噺。
三三は、何だかどこがとは指摘できないが、違った話のようにも聞こえる。夫婦の力関係というか、縁というかに重点を置いたのだろうか。別話のように聞けて、新鮮で、面白かった。
通常ここで仲入して、ゲスト→トリと進むのだが、仲入前にゲストタブレット純。
いや~、ナンだこの人は、ぶっ飛んだ。変な男。
なんでも、和田弘とマヒナスターズの、解散前最後のボーカルだったらしい。歌は上手い。存在は変。語りも妙。男だか女だか不明。なんて人だ。三三は「やばいヤツ」と表現。
かなり古い昭和歌謡を歌うような、途中で止めるような。似顔絵など上手に描いてきていて、それを見せながらの漫談。物真似もする。
客席には、ペンライトを振る客が数人いて、寄席でペンライト?。結構な人気があるのだ。
確かに、こういうのが寄席の色物で出てきたら、後がやりにくかろう。
7月の三三独演会では、鉄道物真似の立川真司という、これも爆笑のゲストだったが、三三独演会は、こういうこともあるのね。
トリは剛『三味線栗毛』。これも初めて聞く噺。人情噺に入るか。
酒井雅楽守という大名家の次男。親子関係が悪かったこともあるが、疎まれて、わずか百石扶持で下屋敷に事実上放逐されている。そんな境遇の中でもグレることなく、まあまあ楽しんで悠々自適。
そんな中あんまの錦木と仲が良くなる。骨相から、将来大名になると予想する。対して次男は、もし大名になったらお前を検校にしてやると約束。他愛もない会話だった。
病に伏せて食うに困った錦木。あるときその次男が大名を相続したとの噂を聞いて、上屋敷に会いに行く。
やっと会えて、仲を取り戻し、検校にも成れるが、以前のように友達づきあいをする。
あるとき雅楽ノ守が馬を飼う。名前を三味線と名付ける。妙な名だと訝る検校錦木。そこで名の由来を語る。
という話しで、面白いオチがあるわけではない。
が、三三は、こういう噺でもきっちりと、しかもタブレット純の後で仕上げる。
良かったですよ。やはり三三師匠。