9月22日(木) 神奈川県民ホール
指揮者:小林研一郎
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
ソリスト 周防亮介
ソリストアンコール タレガ作曲 アルハンブラの思い出(ヴァイオリン版)
(休憩)
チャイコフスキー:交響曲6番<悲愴>
アンコール ダニーボーイ
第379回は謡仕舞の発表会と重なったため欠席。よって、6月10日の演奏会以来3ヶ月ぶり。
コバケンは、調べてみたらば2020年9月の第360回以来。これも2年ぶり。確か、今年にコバケン指揮の演奏会があったが、コロナで休演したような。
一見して、弱々しく、年取ったな、という印象。マスクのせいもあるか。1940年生まれ、84歳。“炎のコバケン”のイメージとは違ったが、後で聞くと、体調不良だったらしい。
今回はチャイコフスキーばかり。
ヴァイオリン協奏曲のソリストは、周防亮介。
彼が素晴らしい演奏。この奏者は前にも聴いて記憶に残っていた。というのもその服装。今回も、黒色系の上着で、胸と背中が開かれていて、更に、左肩から右腰に伸ばしたS字様の透け模様(か、あるいは肌色系の色地か)。幅のあるズボンと裏底が赤いパンプス。肩先まで伸びた髪。口紅。要するに、女装なのです。
それが、弾き始めると、この音は男性的な力強さ。ムムム、なのです。
驚きは、ソリストアンコール。本来はギター曲なのでしょう、「アルハンブラの思い出」のあのトレモロをヴァイオリンで演奏。しかも、まるでヴァイオリンが2丁あるかのよう。だれか、サブで弾いていないかと目を凝らすが、いない。独奏。
超絶技巧だと思う。
調べてみたら、2019年3月の第345回定期演奏会に出演していたし、その時のソリストアンコールも同曲だった。
ブログを読み返してみると、超絶技巧だとは書いてあるけど、今回ほどの感動は伝わってこないし、そんな記憶もない。きっときっと、周防さんもこの3年半で進歩したし、こちらも進歩したのではないか。
何だか、うれしい。
周防亮介、1995年生まれ。まだ27歳。3年前は24歳だったんだ。
ファンになってしまった。
交響曲6番<悲愴>。名曲だよね。
ここに至って、コバケンやや回復したような。いつもの空を仰ぐ振りが出そうになるが、いつもより大きくはない。
ゆったりしたテンポで、的確な音量の増減、ティンパニや大太鼓、シンバル、銅鑼の、ベストなタイミング。素晴らしい。
第3楽章の終わり頃には、ウルウル。
最終楽章の最後、コントラバスの弱いピチカートが段々消えていく。コバケンもゆっくりとタクトを下ろす。
誰もフライングの拍手をしない。いいぞ。パラパラと拍手が始まって、やがて大きな拍手へと。観客も酔い痴れていたんだ。一体感というのかな。
コバケンの挨拶があって、体調不良で申し訳ないと。そんなことないよ。良かったですよ。
アンコールは、いつものダニーボーイ。
終演が伸びてしまって、余韻の飲みができなかったけど、十分満足した。感動的ですらあった。
素晴らしい演奏会でした。