8月15日(月) 横浜にぎわい座
開口一番 前座 柳亭市松 『のめる』
柳亭市松 『磯の鮑』
『宿屋の仇討』
(仲入)
『猫の災難』
前日は落語芸術協会の若手真打ち、今回は落語協会の会長ベテラン。
所属団体は関係ないけどね。若手か、会長ベテランか。
1階席はほぼ満席。2階には入れていないか。
開口一番前座は、緊張していたんでしょう、名前も名乗らない。禁句に近い「勉強させて頂きます」から始める。それは師匠に言うコトバでしょ。
演目は『のめる』。無くて七癖の噺だけど、口演中は、何の話しだか解らないくらい。まだまだホンの序の口なんでしょう。
二つ目の市松は『磯の鮑』。女郎買いの師匠という旦那に教えを頂く噺。話しっぷりはゆったりで良いけど、内容がスッと入ってこない。イライラするから、眠くもならない。ちゃんとした落語家が喋れば面白いはず。
師匠市馬は『宿屋の仇討』から。例の、宿に泊まった侍が隣の江戸っ子3人組が五月蠅いので「伊八~、伊八~」と手を叩いて、呼び出す噺。この、掛け声、「伊八~、伊八~」の声が宜しいのです。この呼び出し声で上手い下手が解るというもの。
江戸っ子の3人組が、隣室で宴会を始めるとき、「相撲甚句」を大声で謡う。これは市馬だねえ。イキ(粋)で、イナセ(鯔背)で、市馬しか出来ないか。
広辞苑によると、「鯔背」とは、(一説に)江戸日本橋魚河岸の若者が髪を「鯔背銀杏」に結っていたところから、粋で、いさみはだの若者。またその容姿や気風、を言うらしい。いさみはだ、とは、勇み肌で、おとこだての気風。
勉強になります。
仲入後のトリは『猫の災難』。この噺は、なんと言っても、酒が好きな酒飲みの、飲みっぷり、意地汚さ。
良いねえ。市馬は、酒好きなんだねえ。というか、志ん生とか、馬生とか、先代小さんとか、ホントの酒飲みを見てきていて、自分も嫌いじゃあない、ということ。
前日の小痴楽の『らくだ』の酒飲みのシーンは、眼目が兄いとの立場の交替であったが、でも、酒飲みも重要で、小痴楽はまだまだだったが、市馬は、ホントに美味しそうに飲む。客の相当数は、帰ったら酒を飲もうと思うのじゃないか。
この辺、芸だねえ。
鯛の尾頭だとか、猫が盗んだという嘘話しだとか、ぜ~んぶ、酒飲み描写のアテみたいな。猫が迷惑しているから『猫の災難』なんですね。