8月10日(水) 横浜にぎわい座

開口一番 前座 春風亭枝次 『二人旅』

『勘定板』

『汲みたて』

(仲入)

『佃祭』

 

好きな噺家なんだけど、上手だと思うのだけど、客入りは悪いなあ。2階はゼロ、1階は4割ってとこ。

 

開口一番は、前座の春風亭枝次。『二人旅』は、上方の旅ものを江戸に持ってきた感じで、都々逸をうたいながら歩いたり、飯屋に入って「ムラサメ」なる村を出ると覚める酒を飲まされたり、口上書にある摘まみが妙だったり。上方の、「陽気なこと~」という雰囲気がまるで無くて、ダメ。

 

雲助のマクラは、危険な暑さの中を、東京の向こう側から横浜まで来て、もう良いだろう、高座に上がっただけで良しとしなくちゃ、ってことだったが、案外、本心なのかも。雲助、早く帰りたかったんだね。

そういえば、一門会でも、師匠なんだから本来大トリにすべきを、中トリにして、終わったらすぐに帰ってしまうようなことを言ってたなあ。

 

『勘定板』はネタ出しではなくて、短いのをひとつ、といって喋りだした。初めて聴くかな。

田舎では川の上のトイレ、暇な箇所で、暇所(かしょ)が転じて、カジョウとなり、カンジョウとなり、しゃがむ板をカンジョウ板といったらしい。それが、田舎から江戸に出てきた客人が、カンジョウ板を貸せといい、若い衆が勘定書きと間違えるというドタバタ、善意の塊の噺。

拍手を貰える噺ではないと、言っていたけど、面白かったですよ。初めてだし。

 

『汲みたて』。いい女の師匠とみると、通い詰める連中。お稽古が目的じゃない。

抜け駆けして、師匠と良い関係になった建具屋のはんこうに嫉妬して、仕返しをしようと。良い調子で河の船遊びをしているのを邪魔をしようという。師匠と二人の船遊びは、三味線が入って「お伊勢参り」とか、「都々逸」とか。これは江戸情緒が出ていて、さすがのベテラン。音曲入りという噺。

邪魔をする連中は、側に舟を着けて、どがちゃかどがちゃか。ここも、念入りの噺家だと、太鼓や、鐘やら持ち出して実際にならすのだけど、今回は、雲助が口頭で演ずる。チト残念。

クソでも食らいやがれ、と毒づくと、そこに汚穢舟が近づいてきて、汲みたてをどこぞ、というオチで、演目名になる。

もちっと、江戸情緒をどっぷりと出して欲しかった。

 

『佃祭』。まだたっぷり時間が残っているから、たっぷり語ることを期待して。

佃祭に出かけた旦那。酷く焼き餅焼きの女房が居る。暮れ六つで仕舞舟に慌てて乗り込もうとしたら、三年前に助けた女に呼び止められて、乗り遅れるてしまう。が、神とあがめ立てられている。その仕舞舟が沈没して、乗客全員死んだという。

それを聞いた旦那のお宅。仮通夜をとりおこなう。

ここで町内の連中のお悔やみが、面白かったな。4~5人くらい出てきたかな、こういうことはない。その悔やみが面白い。

明け方になって、無事に帰宅する旦那。「死なぬが仏」。

 

終演は、8:40頃。ほら、早く終わっちゃったじゃないか。ホントに雲助は早く帰りたいのですね。

時間が余ったので、行きつけの飲み屋に。こっちは、おしゃべりなどして飲み、遅くなってしまう。

世間は、8月21日(日)まで、夏休みか。10連休か。リタイヤした高等遊民は、365連休中。でも能楽お稽古や、能楽鑑賞、医者で忙しい。