7月3日(日) パルテノン多摩大ホール

狂言組 (和泉流 野村万作家)

解説 高野和憲

『三番叟』

  三番叟:野村萬斎 千歳:野村太一郎

  笛:竹市学 小鼓:(頭取)鵜澤洋太郎 (脇)飯冨孔明、田邊恭資

(休憩)

『二人袴』

  シテ(親)野村万作 アド(舅)石田幸雄 アド(太郎冠者)月崎晴夫 アド(聟)野村裕基

 

パルテノン多摩が、大規模修繕をしていたらしく、その改修工事が終わって、再会館を祝うといういくつかの公演のひとつ。

パルテノン多摩大ホールは、ずっと昔に行ったことがあるような記憶程度だったが、改修工事で閉館していたことも知らず、再会館も知らなかったけど、どこかで情報を入手したら、萬斎の『三番叟』を上演するというので、ゲット。

 

新しいホールは気持ちが良い。席そのモノがズレていて前が良く見える。コロナで、市松模様席に慣れてしまって、前の席の方の頭が気になることもなくて、ああ良い感じ、でした。でもそのままだと観客は半数になる訳で、興行収入も半分になってしまって、あれこれ大変だっただろうけど、こういう風に席を少しずらして、席を置けば、良いのです。

まもなく横浜能楽堂も改修工事に入るので、是非ともこういう席作りにして欲しいと思うのです。

国立能楽堂もそうして欲しい。座席の移動などは、大規模改修ではなくして出来るのではないだろうか。

 

解説は、いつもの通り。どうしても新人相手の解説になるが、もっと慣れた客向きにも話したら良いのに。例えば、馬場あき子さんのように。無理か。

 

『三番叟』、翁続きでは何度か観ているが、独立しては初めて。しかも、萬斎のは、前から観たかった。

東次郎先生の三番三(大蔵流は、こう書く)も素晴らしいが、萬斎も素晴らしい。

あの迫力、掛け声、力強い拍。

でもホールだとどうしても声が上に逃げてしまう気もする。また、ホール舞台床の上に能楽用の敷き舞台を設けるのだけど、拍の音が、べちょって感じで、やはり能舞台の方が数段良い。

素晴らしかっただけに、今度いつか能舞台で萬斎が演じるときは、全国どこにでも行きたい。

 

千歳(あるいはシテ方流派によっては面箱持)と、黒式尉面を被った三番叟が、鈴ノ段に入る前に行うやりとり、「アドの太夫は元の座敷に直れ」「いや、まず舞え」「いやただ直れ」のやりとりの意味が良く解らない。あれこれ調べても解らない。

誰か解説して貰えないかしら。

「そうならば鈴を参らそう」「あら様がましや」で、三番叟は鈴を受け取って、鈴ノ段へとなるのですが。

 

小鼓頭取の鵜澤先生。3人の息がぴったりと合って、乱れることなく。素晴らしい。

 

『二人袴』、記録上は2回目だけど、もっと観ているよな。

でも若干のニュアンス的な演出もあって、今回は、やや不作法、ぶしつけな聟を、親が嗜めるという風も。

裕基君は、いやいや裕基さんは、上手く演じていました。履き慣れない長袴を履いてサイボーグ的な動きはやや誇張しすぎだとは思うけど。もっと自然に。素直なんだろうな。

万作師は、文句のつけようがない。円熟というコトバのみ。