6月3日(金) 横浜にぎわい座

開口一番 春風亭朝枝 『たらちね』

剛 『忠治山形屋』

(仲入)

ゲスト 三増れ紋 江戸曲独楽

柔 『蛙茶番』

 

開口一番は、二つ目。朝枝、聞いたことがあるような記憶。なかなかの噺家になるか。高座に上がる仕草がゆったりとして、美しい。

『たらちね』は、名前の名ノリと、朝食の支度まで。もっとじっくり聴いてみたい気もする。春風亭一朝の弟子かな、一之輔の弟弟子かな。春風亭は、柳派だよね。

 

『忠治山形屋』、初めて聴く噺。講談からだろうな。

出が遅いのは、帯が結べなかったからだと。嘘でしょ。何だか、妙な声を出しているお婆さんがいて、対処していたのではないか。

ご存じ国定村の忠治親分の話。代官の首を切ってしまって、凶状持ちとなり、旅に出ているときの噺で、「忠治旅日記」というのがあって、その中の一部なんですと。

年貢が払えず、娘を50両で女郎に売ったオヤジ。買ったのは、女郎屋主で、十手持ち、目明かしも兼ねて悪事を働く、山形屋。そいつを懲らしめる噺。50両を、若いモンに強奪させる。たまたま雨宿りで子細を聴いた忠治が、一肌脱いで、山形屋を威して、50両と娘を身請けし、更に、100両せしめ、これを親子に与えるという、完全に勧善懲悪の、善良ヤクザ親分のお話で、講談や、町芝居では、拍手喝采となるモノ。

こういう落語人情噺があるとは知らなかったが、面白かったし、しっかりした噺家は、講談も出来なくちゃならぬ。

講談由来の落語も話せねばならぬ。

良かった。

 

ゲストの曲独楽。独楽回しは3回だけで、あとはおしゃべりというか、一人漫談というか。

まあ、面白いけどね。どうやって暮らしているんだろう。絶対にこの寄席芸だけでは喰えない。

 

『蛙茶番』、たしか素人芝居の舞台番で、錦の褌を疲労しようとして失敗する噺だなあ、と思っていて、ネタ出しだからそのつもりで聴いていて、店の丁稚が代役でガマのぬいぐるみを着させられるとこから入ったから、あれれと思ったけど、これが普通なんだな。じゃないと、オチが合わなくなる。

ガマが舞台に出られずに、だって、アオダイショウがいるから。

単純でバカな職人、片思いの娘が見に来ると騙されて、その気になって舞台番をするが、湯屋に行って立派な褌を忘れて駆けつけて、一物を疲労してしまうと言う、艶笑系バカ話。

実に面白かった。三三も楽しみながらおしゃべりしていて、お客も十分に楽しめた。

 

この日は、午前中は梅若実の謡曲CDを聴いてウットリし、午後は医者に廻ったりして、早めの夕食してから三三独演会と充実した一日でした。

今年度の三三独演会は「柔と剛」という副題の元、柔の噺と剛の噺を2席演ずるという趣向。

三三は、以前大喜利は苦手、当意即妙は出来ぬ、と話していた。つまり、相当じっくり仕込んできている独演会なのでしょう。さすがにプロというか、芸人というと軽く感じるが、落語家、噺家というと結構大変なのでしょう。

気楽におしゃべりしている稼業などと言うけど、とんでもない。

 

三三、志らくは定期的に聴きに行こうと思っている高等遊民。だいぶ、能楽に浸食されているけど。