4月23日(土) ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮者:ピエタリ・インキネン
シベリウス:交響詩<エン・サガ>
ベートーヴェン:交響曲第2番
(休憩)
ベートーヴェン:交響曲第4番
このコンサートは、インキネンの怒りに溢れた演奏会になった。
プログラムは1年以上前に作られているから、偶然の産物なのだろうが、ロシアによるウクライナ侵攻戦争の真っ最中。
日フィルの首席指揮者インキネンは、北欧フィンランドの出身。ロシアと長い距離を持って国境を接しているが、サンクトペテルブルグとの直線距離は近く、長年ロシアとは、戦争や緊張状態にあった。
そういう意味で、ウクライナと環境的、地理的、歴史的ロシア関係で、近しいモノがあるのだろう。
インキネンは怒っていたと思う。怒りのタクトだったと思う。シベリウスの交響詩エン・サガは、初めて聴く曲だけど、インキネンの左手は、固く結ばれて、強さを現していたと思う。
ボクにとって未知の曲だから、そういう曲なのかもしれないが、少なくも印象的には、おとぎ話という「エン・サガ」が、不安な和音から始まって、大編成のオーケストラの中で、大音量に達し、最後は、消える。
評論家ではないので、意味は解らない。ただ、感覚だけの感想で。
そのまま、インキネンのベートーヴェン・ツィクルスに流れていって、2番と4番という組み合わせ。珍しい。
最初のプログラム編成は、このベートーヴェンの2曲の交響曲が中心だったのではないか。
それが第1曲のシベリウスが、前菜からメインに上がってしまったという、変動せるプログラム。
ベートーヴェンの九つの交響曲は、好きだ。
何となく高校生時代から勝手に分類して、イー・スー・チーの3曲。サブ・ロク・キュウの3曲に、リャン・ウー・パーの3曲に分類していた。何となく、曲想が違うと思いませんか。
このうち、リャンの2番は、なかなか聴くチャンスもなく、CDも持っていないので、そういう意味で楽しみにしていました。
で、シベリウスに続く、2番、リャン。
頭の中は、ウクライナのこと、フィンランドのこと、ロシアのこと、ソビエトのこと、スターリンのこと。
反スターリン主義者でもあった学生時代。ロシアなんて考えもせず、ソ連だった。その違いも認識していなかった。が、実際は、ソ連やスターリンは独裁は、大ロシアの一部だったかもしれないし、周辺のフィンランドやウクライナからしても、ソ連やスターリンの時代は、大ロシアとの関わりの長い歴史の一部だったのですよね。
な~んてことを考えて聴く。
それでも聴き慣れた4番、スーになると、心が躍ってくる。
やはり、名曲だよね。インキネンの怒りは静まってきたが、気力は充実してのタクトでした。
インキネンの首席指揮者は、来年の夏までらしい。最後は、夏に9番、クになって、ツィクルスお終いだとか。
まあ、それも良いかなあ。
それにしても、ミューザ川崎ホールの、クネクネは、気持ち悪い。どうしてこういう設計になったのか、理解に苦しむ。
高等遊民の趣味の、1丁目はクラシックでした。お能や謡曲、能楽に相当引きづられて来ている。読書はゼロ番地ね。
クラシック趣味が消滅することはない。
シベリウスは、もっと聴いてみよう。